(1) ローカルファイルとは
ローカルファイルとは、その税法上の正式名称を、「独立企業間価格算定に必要と認められる書類」といい、個々の関連者間取引に関する詳細な情報を記載したものとイメージいただければと思います。
このローカルファイルは、いくつかの書類から構成されますが、大きく分類すると、「海外子会社との取引の内容を記載した書類」と、「海外子会社との取引に係る独立企業間価格を算定するための書類」の2つに分類できます。
また、ローカルファイルについては、特定の様式及び記載要領はありませんが、国税庁よりローカルファイル作成のための例示集が公表されておりますので、もし自社で作成される場合には、そちらを参考に作成することが推奨されます。
(2) 作成義務者及び作成期限
国外関連取引を行った法人が、確定申告書の提出期限までに作成する必要があります。
(3) 提出期限
税務調査において提示又は提出を求めた日から一定の期日(45日(又は60日))とされます。
(3) 適用除外基準
一の国外関連者との国外関連取引について、下記の①及び②を共に満たす場合に、免除されることとなります。
①国外関連取引の合計額が50億円未満の場合、かつ、②無形資産取引の合計額が3億円未満である場合
(4) 文書の保存期間
原則として、確定申告書の提出期限の翌日から7年間、国外関連取引を行った法人の国内事務所で保存する必要があります。
(5) その他留意事項
通常、取引金額が50億円未満の場合には、ローカルファイルの作成義務はありませんが、上述の通り、税務調査において、税務調査官が必要と判断した場合には、税務調査員が指定する45日(又は60日)以内の期日までにローカルファイルに相当する書類を当局に提出する必要があります。
ここで、ローカルファイル、または、それに相当する書類が指定された日までに税務当局に提出されない場合においては、税務調査員による推定課税課税が行われることとなり、推定課税が行われた場合には、通常、納税者の反論は困難を極め、更正処分を受ける可能性が極めて高いと考えられます。
したがって、ローカルファイルの文書化義務がなくても、海外子会社等との取引が重要と考えられるような会社では、ローカルファイルを予め準備しておいて、税務調査の時に、それを指定期限内に提出できるようにしておくことが推奨されると考えられます。