(1)概要

平成30年度税制改正において、法人税における収益の認識基準が改正されました。
その改正には、長期割賦販売等の延べ払い基準の廃止が含まれています。
なお、この改正に伴い経過措置も設けられています。
今回は、この長期割賦販売等の廃止についての解説を行います

(2)長期割賦販売等について

資産の譲渡、役務提供をしたことにより獲得する収益は、原則、その資産の引渡し時、役務提供時に認識することとなります。
しかし、長期に渡ってその代金を回収する場合、全額回収できないなどのリスクや、そもそもキャッシュが入って来ていないことから、担税力が通常の販売と比較して少ないと考えられ、改正前一定の長期割賦販売等にかかる収益はその回収に期間に応じて益金・損金の額に算入される規定が存在しました。
しかし、今回、会計上の収益の認識基準について改正が行われ割賦基準による収益計上が認められなくなることに対応して、税務上も長期割賦販売等の廃止がされることになりました。

(3)改正前の取扱い

長期割賦販売等による資産の販売、工事の請負または役務提供については、原則通りにその引渡し等のタイミングで益金・損金の額を認識する方法と、延払基準(詳細は下記参照)による方法のいずれかの方法を選択することができます。
延払基準とは、賦払金の支払金額に応じたその長期割賦販売等による利益の額を計上していく方法になります。
なお、延払基準の方法を採用する場合には、確定した決算において延払基準により経理を行う必要があります。
長期割賦販売等とは、資産の販売等で下記に記載している要件に適合する条件を定めた契約により行われるもの及びリース譲渡を言います。

<要件>
①月賦、年賦などの賦払により3回以上に分割して対価を受け取ること
②その資産の販売等の目的物の引渡しまたは役務提供日の翌日から最後の賦払金の支払い期日までの期間が2年以上であること
③その資産の販売等の目的物の引渡しの期日までに支払期日が到来する賦払金の合計額が、その資産の販売等の対価の額の3分
の2以下になっていること

<延払基準>
延払基準とは、賦払金の支払金額に応じたその長期割賦販売等による利益の額を計上していく方法になります。
具体的には下記①から②を差し引いた金額を、毎事業年度計上していくことになります。

①収益の額
長期割賦販売等の対価の額 × 賦払割合 

②費用の額
(販売等の原価の額 + 販売等の手数料) × 賦払割合

③賦払割合
その事業年度中に支払期日が到来する賦払金合計額 ÷ 長期割賦販売等の対価の額

(4)改正後の取扱い

長期割賦販売等の延払基準は廃止されます。
(リース譲渡については、延払基準は廃止されていません。)
なお、消費税においても従来長期割賦販売等について延払基準の適用がありましたが、法人税法と同様に延払基準は廃止されています。
(消費税法も法人税法と同様にリース譲渡については、延払基準は廃止されていません。)

(5)経過措置

長期割賦販売等の延払基準の廃止に伴い経過措置が設けられています。その経過措置の対象法人と内容については、下記をご確認ください。

<経過措置>
①対象法人
平成30年4月1日前に長期割賦販売等に該当する資産の販売等を行った法人
②内容
(a) 平成35年3月31日までに開始する各事業年度 ・・・ 現行の延払基準により計算することが認められる(なお、未計上の利益額がある場合において、延払基準により経理をしなかったときは、その経理しなかった事業年度においてその未計上の利益を計上することとなります。)
(b)平成30年4月1日以後に終了する事業年度 ・・・ 延払基準の適用をやめた場合において、未計上収益額が未計上費用額を越える時は、未計上収益額及び未計上費用額を120で除し、これに当事業年度の月数を乗じて計算した金額を益金の額及び損金の額に算入する。

【参考法令等】

法人税法63条
法人税法施行令127条
法人税法平成30年3月31日改正附則28条
消費税法平成30年3月31日改正附則44条

  • このエントリーをはてなブックマークに追加