(1)概要

企業活動をして行く際、契約書は密接な関係にあるものでしょう。
例えば、会社と取締役などの役員との間には委任契約書、会社と従業員との間には雇用契約書を締結します。
また、対外的な契約でいうと、物件を賃借する際には、その物件のオーナーなどと賃貸借契約を締結します。
高額な商品の売買である場合、売買契約書を締結することもあるでしょう。
他にも、外注先と締結する請負契約や工事契約も契約書を作成するでしょう。
今回はこの契約書と法人税・消費税・印紙税との関係について概要を解説したいと思います。

(2)契約書とは

契約書とは、契約を締結する際にその契約の内容を文書として作成されたものを言います。
一般的に契約書は、締結の証としてお互いの署名・捺印が行われています。(最近では、電子にて契約書を締結するケースもあります。)
契約自体は口頭でも成立しますが、後日、トラブルが起きた際に、口頭のみであると契約内容の証明をすることが困難であることから、文書に残しておくことが一般的です。

(3)法人税と契約書の関係について

企業活動と契約書は密接な関係にあり、法人税と契約書の関係もこれと同様に密接な関係にあると言えるでしょう。
例えば、土地付き建物を購入した際、法人税の計算上、その購入金額を土地(非償却資産)と建物及び建物附属設備(償却資産)に按分して、減価償却の対象となる金額を抽出する必要があります。
この購入した際の契約書の内容により、その按分方法が異なることとなります。
その契約書に、土地の購入金額と建物(建物附属設備を含む)の金額が、それぞれ記載されている場合には、通常はその金額をそのまま使用して按分すれば良いのですが、それぞれの金額が記載されておらず合計金額のみしか記載されていない場合には、一定の方法により計算する必要があります。

上記の内容以外にも、法人税と契約書は密接に関係する部分が多々存在しますので、次回以降に解説したいと思います。

(4)消費税

消費税と契約書も密接な関係にあるものと言っていいでしょう。
消費税は、課税される収受する対価の額や、支払うべき対価の額を元に税額が計算されます。
そのため、その取引の内容や、取引金額が記載されている契約書の内容が非常に重要になってきます。

また、契約書の内容に支払金額を明記することは一般的です。
その内容が例えば「月額使用料 10,800円」となっている場合、消費税の記載がないとしても、消費税率が8%であるということを考えると、本体金額が10,000円、消費税が800円と考えるのが普通でしょう。
しかし、消費税率がアップした際、このままの契約ですと、消費税が上がった部分の金額について請求することが困難であると考えられます。これは、支払金額を「月額使用料 10,800円」とした内容の契約を締結してしまっているためです。
このような状態にならないようにするために契約書には「月額使用料10,000円(税抜、別途消費税)」と記載をし、また、消費税増税時の対応を記載した条項を契約書に盛り込んでおくのが良いでしょう。

これ以外にも、消費税について契約書と関係する部分があり、これらの内容について次回以降に解説したいと思います。

(5)印紙税

契約の当事者が作成した契約書で、「課税文書」に該当する契約書を作成した場合には、印紙税が課税されます。
すでに成立している契約内容を変更するための文書や新たな内容を追加したことを明らかにする文書、本契約を締結する前に作成した予約の契約書についても、印紙税の課税の対象となる内容が記載されている場合には納付する必要があります。
課税文書とは下記に記載しているものです。なお、課税文書に該当する場合でも、一定の文書や国等の一定の者が作成した文書である場合には、非課税文書になります。

<課税文書>
第1号  不動産の売買契約書、土地賃貸借契約書、金銭消費貸借契約書、運送に関する契約書等(なお、建物、施設、物品等の賃貸借契約書は課税文書に該当しないことから印紙税は課税されません)
第2号  請負契約書(工事請負、広告、会計監査、プロ野球選手や映画俳優等の専属契約書等)
第3号  約束手形、為替手形(裏書手形は課税文書に該当しないことから印紙税は課税されません)
第4号  株券、出資証券等
第5号  合併契約書等
第6号  定款
第7号  継続的取引の基本となる契約書(契約期間の記載のあるもののうち、その契約期間が3月以内であり、かつ、更新に関する定めのないものは除かれます)
第8号  預金証書、貯金証書
第9号  貨物引換証、倉庫証券、船荷証券
第10号 保険証券
第11号 信用状
第12号 信託行為に関する契約書
第13号 債務の保証に関する契約書
第14号 金銭又は有価証券の寄託に関する契約書
第15号 債権譲渡又は債務引受けに関する契約書
第16号 配当金領収書、配当金振込通知書
第17号 売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書等(領収書は5万円未満非課税、営業に関しない受取書は非課税とされています)
第18号 預金通帳、信託通帳、保険料通帳等
第19号 消費貸借通帳、請負通帳、有価証券の預り通帳、金銭の受取通帳などの通帳
第20号 判取帳

上記の課税文書に該当するか否かの判断は、その契約書の記載内容により行われることとなります。そのため、契約書の内容が非常に重要となってきます。

なお、電子上で契約書を締結する場合、印紙税は課税されません。
印紙税は、課税文書の作成について課税するとしており、この場合の課税文書とは書面の文書のみ該当するとされています。
従って、電子文書については課税文書に該当しないとされていることから、電子上で契約を締結する場合、印紙税は課税されないこととされています。
印紙税の出費を減らすことによりコスト削減を行うことができるため、ぜひご活用ください。

(6)まとめ

以上のように、法人税・消費税・印紙税などの課税関係と契約書の内容は密接なものになり、契約書を作成する段階からこれらの課税関係を意識する必要があります。
もちろん、契約書がすべてではなく、実態に即して課税が行われることは言うまでもありませんが、当事者同士が合意した内容を文章として残している契約書は重要な証拠となってしまうのは間違いありません。
契約のスキームの選択によっては、その負担すべき税額が大きく異なることあります。
特に印紙税については、契約における合意内容が同じであったとしても、その契約書の記載内容が異なることにより納税額が変わることもあります。(なお、上述の通り、電子契約である場合には、印紙税は課税されません。)
また、税務調査においても必ずチェックされる書類となります。
そのため、契約書の作成にあたっては、税務の視点が重要となってきます。
今回は概要のみの解説となりますが、次回以降、具体的な内容について解説を行いたいと思います。

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