Question

平成30年税制改正大綱が発表されたと聞きました。
法人課税についてどのような内容の改正がされるのか概要を教えてください。

Answer

(1)平成30年税制改正における法人課税の改正の概要

法人課税ついては、企業が自己の収益を生産性向上のための設備投資や人材投資に振り向け、持続的な賃上げが可能となる環境を作り出す観点から行われる改正が主な内容となっております。

法人課税で改正が行われる主な項目は下記の通りです。
・情報連携投資等の促進に係る税制の創設
・所得拡大促進税制の見直し
・大企業の租税特別措置法の税額控除適用要件の見直し
・組織再編税制の適格要件の緩和
・収益の認識基準等について
・租税特別措置法の適用期限延長

(2)各改正項目の概要

各改正項目の概要は下記の通りです。

・情報連携投資等の促進に係る税制の創設

青色申告書を提出する法人が革新的データ活用計画に基づき一定の設備投資を行なった場合において、その事業の用に供したときは、特別償却または税額控除の選択適用ができることする規定が創設される予定です。
ただし、税額控除における控除税額は、当期の法人税額の 20%(一定の要件を満たさない場合には、15%)を上限とされる予定です。

・所得拡大促進税制の改組

所得拡大促進税制の基本的な考え方について変更はありません。
青色申告書を提出する法人が、国内雇用者に対して支給する給与等の金額が一定金額増加した場合には、その増価額の一定割合額を法人税額から控除することができる制度になります。
平成30年税制改正において、賃上げ及び人材教育に投資を積極的に行なっている企業に対して、現在より優遇を行うこととされる改正が予定されています。

今回の改正により、中小企業者等と中小企業者等以外(以下「大企業」という)で適用要件が異なることとなり、それぞれの適用要件の変更点の概要は下記の通りです。

①中小企業者等(適用除外事業者を除く)の適用要件について

適用要件について「賃金増加要件」が一部削除される予定です。
なお、今回の改正により、大企業においては適用要件に「設備投資要件」が加えられることとなっておりますが、中小企業者等については、この適用要件は加えられていません。
大企業の所得拡大促進税制と選択適用をすることが可能となる予定です。
※「適用事業除外者」とは、事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均金額が15億円を超える事業者をいう。

②大企業の所得拡大促進税制の適用要件について

適用要件について「賃金増加要件」の一部について削除されました。
一方で、「設備投資要件」が新たに創設されることとなりました。
教育訓練費が増加した場合には、税額控除額が上乗せされる予定です。

・大企業の租税特別措置法の税額控除適用要件の見直し

下記の要件をいずれも満たさない場合には、一定の税額控除について適用できないこととする改正が行われる予定です。

<要件>
①平均給与要件 ・・・ 平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えること。
②設備投資要件 ・・・ 国内設備投資額が減価償却費の総額の10%を超えること。

<一定の税額控除>
一定の税額控除とは、下記の制度の税額控除となる予定です。
①試験研究を行った場合の税額控除地域
②未来投資促進税制にかかる税額控除
③情報連携投資等の促進にかかる税額控除

 

・組織再編税制の適格要件の緩和

①完全支配関係がある法人間で行われる当初の組織再編成の後に適格株式分配を行うことが見込まれている場合の当初の組織再編成の適格要件のうち完全支配関係の継続要件について、その適格株式分配の直前の時までの関係により判定することとされる予定です。
②当初の組織再編成の後に完全支配関係がある法人間で従業者又は事業を移転することが見込まれている場合にも、当初の組織再編成の適格要件のうち従業者従事要件及び事業継続要件を満たすこととされる予定です。
③いわゆる無対価組織再編成について、適格組織再編成となる類型の見直しを行うとともに、非適格組織再編成となる場合における処理の方法を明確化される予定です。

・収益の認識基準等について

収益の認識基準等について、下記の改正が行われる予定です。
①収益認識時の価額について法令化
②収益の認識時について法令化
③返品調整引当金制度の廃止(経過措置あり)
④長期割賦販売等の延払基準について廃止(経過措置あり)

 

・租税特別措置法の適用期限延長

①交際費等の損金不算入制度について
交際費等の損金不算入制度について、その適用期限が2年延長される予定です。
また、接待飲食費に係る損金算入の特例及び中小法人に係る損金算入の特例の適用期限を2年延長される予定です。

②倉庫用建物等の割増償却制度について
倉庫用建物等の割増償却制度の適用期限が2年延長される予定です。

③欠損金の繰戻還付で制度について
中小企業者の欠損金等以外の欠損金の繰戻しによる還付制度の不適用措置について、その適用期限が2年延長される予定です。

④少額減価償却資産の損金算入の特例について
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の適用期限が2年延長される予定です。
なお、少額減価償却資産とは、取得価額30万円未満の減価償却資産を言います。

 

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