概要
法人税の計算上、寄附金(寄付金)に該当する支出がある場合、その支出のうち一定の金額については損金の額に算入されないこととされています。
国等に対する寄付金は、法人税の計算上、全額損金の額に算入されますが、ここでいう国等に外国は入るのかどうかという疑問が生じると思います。
今回は、外国に寄附を行なった場合の法人税の取扱いについて解説を行います。
Question
外国であるA国に対して寄附を行うことを予定しております。
この場合の法人税上の取扱いを教えてください。
Answer
(1)結論
A国に対する寄附金は一般寄附金に該当して一定の損金算入限度額に達するまではその事業年度の損金の額に算入されます。
(2)内容
法人税法37条3項の規定により、「国又は地方公共団体」に対する寄附金については、原則、支出した事業年度の損金の額に算入されます。
この規定の「国又は地方公共団体」は日本の「国又は地方公共団体」のみを指しているのか、もしくは、外国の「国又は地方公共団体」が含まれるのかが疑問になると考えられます。
しかし、この規定の趣旨は、その寄附金が日本の「国又は地方公共団体」の収入となることから、その行為について課税を行うことは適当でないとの立場から設けられているものになると考えられます。
また、法人税法は日本の国内法であることから、ここでいう「国又は地方公共団体」には外国の「国又は地方公共団体」は含まれないのが明らかであると考えられます。
したがって、法人税法37条3項1号に規定されている「国又は地方公共団体」は、日本の「国又は地方公共団体」のみを対象としていると考えられることから、ご質問のA国に対して行われる寄附金は一般寄附金に該当すると考えらえます。
一般寄附金に該当することから、一定の損金算入限度額を超える金額については損金不算入として取扱われることとなります。
【参考法令等】
法人税法37条③⑦