Question

社長の出身校であるA国立大学に対して寄附を行いました。
当社とA大学は社長の出身校という以外、取引等も行っておらず、特別な関係はありません。
この場合の法人税の取扱いを教えてください。

Answer

(1)結論

その寄附金は社長に対する給与として取り扱われます。
事前確定届出給与の届出を行なっていないと思われますので、全額損金不算入として取扱われることになるでしょう。

(2)理由

その寄附金の支出は社長の出身校という理由をもってされたものであることから、本来、社長が負担すべきものであると考えます。
役員に対する経済的な利益は、原則として、その役員に対する給与として取扱うこととされております。
そのため、社長に対する経済的利益であることから役員給与として取扱われ、事前確定届出給与の届出を行っていない限り損金の額に算入されないこととなります。

しかし、例えば、その出身校と何かしらの継続的な取引がある場合などは、事業に関連のある寄附であると主張することができるため、社長に対する給与ではなく寄附金として取り扱うことが可能になるでしょう。

(3)税務調査で指摘を受けた場合について

このような支出を当初申告においては寄附金として取扱っていて、いざ税務調査の場面において寄附金に該当せず社長に対する給与に該当すると指摘を受けた場合、どのような税務処理になるか考えてみましょう。

①法人税の処理について
法人税の計算上は、その大学に対する支出を寄附金として取扱っていたとして、全額損金算入処理を行なっていたと仮定しましょう。
この出身校に対する支出の全額が社長に対する給与に該当すると税務調査の場面において指摘を受けた場合、事前確定届出給与の届出はもちろん行なっていないでしょうから、全額損金不算入として更正を受け、または修正申告を行うことになるでしょう。
この場合、法人税等の課税所得に連動する税額について追加で納税する必要が生じ、延滞税等の附帯税も納付する必要が発生します。

②所得税の処理について
当初寄附金として取扱っていた支出が社長に対する給与として取扱われることから、社長自身が負担する所得税が増加することになります。
会社としては支給時に徴収できなかった税額として追加で源泉徴収を行い国に納付する義務があります。

③結論
このように、法人税(会社)においても所得税(社長個人)においても課税されることから、二重課税状態となり、通常納付すべき税額よりも多く納税する必要が生じます。
そのため、会社が行なっている支出について、本当に会社が負担すべきものであるか、役員が負担すべきものであるかの検討を行い、もし申告作業時に役員が負担すべき支出がある場合には、役員から後日回収するようにして、会計上も費用に計上しないようにするべきであると考えられます。

【参考法令等】

法人税法34条①④、37条⑦
法人税法基本通達9-4-2の2

 

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