英国法人税制の概要を教えてください。
詳細は下記をご確認ください。
なお、英国外で設立された会社であっても、その会社を実質的に支配している場所が英国内にあると判断された場合には、英国居住企業とみなされるので留意が必要です。
(1) 納税義務者
以下いずれかの会社が納税義務者となります。
① 英国で設立された企業、 あるいは管理支配の中心が英国内にあるとされる企業 (居住者企業)
一般的には、英国で設立された法人は全て居住者法人となるが、もし海外で設立された会社であっても、その会社を実質的に支配している場所が英国内にあると判断された場合には、英国居住企業とみなされます。
そして、居住者法人は、全世界的所得が法人税課税の課税対象となります。
② 英国に恒久的施設(PE)を有する企業 (非居住者企業)
一般的には、外国法人が、英国内において支店や契約締結権限を有した代理人等を有し事業を行なっている場合に、当該PEに帰属する全ての所得(土地の売却等に関して一部例外措置あり)が法人税課税の対象となります。
上述の通り、非居住法人への課税は、原則としてPEの有無が重要となるため、例えば、英国内にPEを有していない非居住法人については、原則として英国において有する不動産等の資産から生じた所得については課税対象とはなりません。
(2) 課税所得計算
英国法人税制においては、その所得計算において、所得の性質に応じて所得を区分した上で課税所得計算を行います。
この考え方は、日本の所得税計算に近い考え方であると考えるとわかり易いかもしれません。
そして、法人税所得については以下のカテゴリに分類されることとなります。
①一般事業所得
英国居住者の全世界事業及び英国非居住者の英国内事業からの所得が対象
② 不動産所得
英国内の不動産からの賃貸収入が対象
③営業外金融所得
利息及び年金等で、上述の一般事業所得又は不動産所得として課税対象となっていない所得が対象
④国外所得
株式や不動産等の国外にある所有物からの所得及び海外事業からの所得が対象
⑤雑所得
上記1〜4の区分に該当しない所得が対象
⑥雑所得
資産の処分から生じる所得が対象
法人税の所得計算上は、会計上の利益を基礎とし、上記の通り所得の性質により区分された後に一定の加減算調整を行なった項目の合計額から、更に一定の調整を行うことで所得計算を行うこととなります。
(3) 法人税率
英国政府は、法人税率を段階的に引き下げており、法人税率は、2017年3月末までは20%であったが、2017年4月1日以降、一律19%となりました。
また、2020年4月以降は18%とする予定であり、これは、政府の継続的な政策方針である税率の引き下げに沿うものであり、 減税に伴い英国における投資を促進することを意図しています。
(4) 主な日本との租税条約に基づく源泉税の状況
日英租税条約により、利子は0%、配当は10%(持株比率10%以上の場合は0%)、ロイヤリティは0%源泉税課税となっています。