イギリスがEUを脱退することにより日本企業に与える影響を教えてください。

イギリスがEUを脱退することは、関税、VAT、法人税等の税制にも大きな影響を及ぼすため、今後の動向に細心の注意を払う必要があります。

主要な論点の内容を下記にて解説しておりますのでご確認ください。

(1) Brexitとは

Brexitとは、イギリスが欧州連合(EU)を脱退すること、イギリスのEU離脱、という意味で用いられる単語です。
「Brit (Britain)」と「exit」を組み合わせた表現となります。
Brexitの問題は2016年6月23日に英国で行われたEU離脱を巡る国民投票の結果に端を発するもので、EU離脱派がEU残留派を2ポイント(52% vs 48%)の僅差で上回り、これにより英国は1973年に加盟したEUから離脱することが決定し、遅くとも2019年3月までにEUを離脱することとなりました。

(2) Brexitの影響

Brexitに伴う税制への影響の主要論点は以下の通りです。

① 関税
Brexitにおける関税への影響の検討のうち、最注目ポイントは、英国との取引を行うにあたり、EU離脱後にEU加盟国との取引において関税が課税されるか否かであり、具体的に関税が課税されるか否か、また課された場合の税率についてはポイントの一つとなります。
また、Brexitの影響を考えるに際して、EU離脱後のイギリスとEU加盟国との取引のみならず、イギリスとEU加盟国以外との取引についても影響がある可能性があるため、要留意が必要です。

② VAT (付加価値税)
VATについては、イギリスがVAT制度を現状のまま維持できるのか、またEUに所在するの取引相手先との関係にどのように影響するのか不透明な状況であるものの、取引ごとのVATの取扱い、インボイス手続き、システム要件を変更する必要が発生する影響等が挙げられます。

③ 法人税
Brexitがもたらす直接税(法人税)への影響は、税務関連のEU指令(EU Directive)の効力が喪失することにより、配当や利子、ロイヤリティーをイギリスが国外ののEU加盟国から受領する際に、支払国で源泉税が発生する可能性が挙げられます。
これは、通常、各国間の租税条約よりもEU指令のほうが税務上有利であることが多いため、EU指令を適用して減免措置を受けているケースが多いことに起因している問題です。
例えば、現状のイギリスとの租税条約では、ドイツ、ポルトガル、イタリア等、イギリスへの配当の源泉税率が軽減税率が適用されるとしても免税とはならないケースがあるため、今後どのように改正等が行われていくかについては留意が必要です。
そして、これに起因して、現状各社で採用しているEUにおける持株会社スキームに影響を及ぼす可能性があり、この場合には改めて綿密な検討を行った上でのタックスプランニングに基づく各種検討が必要となります。
もちろん、持株関係の整理を行う際には、税務上の観点のみならず、会計や法務上の観点の整理も必要になるため、留意が必要です。

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