Question

国外転出時課税制度に係る納税猶予制度について教えて下さい。

Answer

(1)国外転出時課税制度に係る納税猶予制度の概要

国外転出時課税制度制度の対象となった場合でも、即時に納税を行う必要が生じるわけではなく、納税を一定期間猶予する措置があり、その措置の適用を受けるときは5年間の納税を猶予することができます。
なお、国外転出時から5年以内に納税猶予延長申請を行うことで、納税猶予期間を10年間に延長できます。
納税猶予のための具体的手続きは以下の通りです。

<手続き>
① 国外転出時までに納税管理人を選定を行い、届け出を行うこと

② 納税猶予分所得税及び利子税に相当する担保の用意

③ その提出期限までに、下記の書類を添付した所得税の確定申告書を提出すること
(イ)国外転出をする場合の譲渡所得等の特例等に係る納税猶予分の所得税及び復興特別所得税の額の計算書
(ロ)担保関係書類(担保として提供しようとする財産に応じて必要な書類が異なりますので、詳しくは所轄税務署に問い合わせを行い確認する必要があります。)

④ 毎年、継続適用届出書を提出すること

(2)納税猶予を選択した場合のその後の手続きについて

国外転出時課税制度制度に関する納税猶予制度の適用を受けた場合は、納税猶予期間中は、毎年3月15日までに納税地の税務署へ「継続適用届出書」を提出する必要があります。
仮に、届出を失念した場合には、7月15日までに猶予税額を納付する必要があるので、留意してください。

(3)納税猶予制度を利用した場合の利子税の課税について

納税猶予制度を選択する場合は、納税猶予期間につき利子税が課税され、本税納付時に利子税も納税することとなります。
通常、利子税に適用される税率は「特例基準割合」とされますが、「特例基準割合」とは、「各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合」として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合とされております。
なお、平成29年度における特例基準割合は1.7%となっております。

(4)納税猶予を行う場合と行わない場合の有利不利

①納税猶予を行う場合
将来的に時価の下落が想定される場合には、引き直し計算により納税額が減額される可能性がありますが(利子税は追加で生じる)、毎年の届出等のコンプライアンス業務に手間がかかります。
②納税猶予を行わない場合
利子税がかからず、毎年の届出等のコンプライアンス業務の手間は省けますが、将来的に時価の下落が想定される場合には、引き直し計算により納税額が減額されるメリットを享受することはできません。

以上より、当該譲渡価額が出国時の時価を下回る状況が想定されている場合には(利子税も考慮した比較が必要ではあるが)、納税猶予を行うことも視野に入れて検討されることが望まれます。

【参考法令等】

所得税法137条の2

 

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