留保金課税とは何ですか。また、留保金課税の適用を回避する方法も教えてください。

留保金課税とは、特定同族会社に該当する場合に適用される制度になります。 通常の法人税とは別に課税される制度になります。

留保金課税の適用を回避するには、「減資を行い資本金等の額を1億円以下にする方法」「配当を行うことにより課税留保額を生じさせない方法」の2通りの方法が考えられます。

(1)留保金課税の解説

留保金課税は、法人が営業活動を行うことにより利益が生じた場合、オーナーである株主に対して配当を行うと、超過累進課税による課税といって、課税所得が増えれば増えるほど所得税の金額が大きくなるなることとなります。 それを避けるために、あえて配当は行わずに利益を社内に留保しておくことが考えれます。
本来、利益が出た場合には配当行うのが通常の経済のあるべき姿であると考えられることから、その配当を促す目的で、この「特定同族会社の留保金課税」という規定を設けており、一定の留保控除額を超えた金額について、特別税率の税を課すという規定になります。

留保金課税の計算は下記の通りになります。

 
<留保金課税計算方法>
留保金課税額 = 課税留保金額 × 税率(注)
課税留保金額 = 留保所得金額(別表四の留保金額の合計額) + 前期末配当等額 ー 当期末配当等額 ー 法人税等 ー 留保控除額
(注)年3,000万円以下の金額   ・・・  10%
   年3,000万円超〜1億円以下 ・・・ 15%
   年1億円超         ・・・  20%

なお、「留保控除額」とは、以下の基準額において一番多い金額となります。
①所得基準額:所得等の金額の40%相当
②定額基準額:2,000万円
③利益積立金基準額:期末資本金の25%相当-利益積立金

(2)特定同族会社とは

被支配会社であることについての判定のもととなった株主等のうちに被支配会社でない法人がある場合、その法人を判定のもととなる株主等から除外して判定しても、被支配会社となる会社を特定同族会社といいます。
被支配会社とは、同族関係者1人あるいは1グループが保有する発行済株式が50%超の法人をいいます。
この同族関係者には、親族・株主から得る金銭によって生計を立てている者等も含まれます。

なお、資本金の額が1億円以下である場合には、そもそも特定同族会社に該当しないこととされています(しかし、資本金の額が5億円以上である大法人による完全支配関係がある場合には、要件に当てはまれば該当することとなります。)。

(3)留保金課税の回避方法

留保金課税の適用を回避するには下記2つの方法が考えられます。

・減資を行い資本金の額を1億円以下にする方法
・配当を行うことにより課税留保額を生じさせない方法

 

①減資を行い資本金の額を1億円以下にする方法

資本金の額が1億円以下である場合には特定同族会社に該当しないとされていることから、資本金の額を1億円以下まで減資を行うことができれば、留保金課税の適用を回避することができます。(ただし、資本金の額が5億円以上である大法人による完全支配関係がある場合には、資本金の額が1億円以下でも特定同族会社に該当するとされています。)

減資を行う場合、「無償減資」と「有償減資」の2つのパターンが考えられますが、「有償減資」により減資を行う場合、みなし配当などの課税関係が生じる可能性があることから、一般的には「無償減資」により減資を行う会社が多いと思われます。

みなし配当の法人税・源泉所得税の取扱い概要

資本金の額を減少させることにより、中小法人などの特例を受けることができるようになることから、節税に

また、外形標準課税の適用対象外となります。

とはいえ、資本金の額は、その会社の信用を表すひとつの指標でもあることから、税負担を軽減するためだけに減資することもできない可能性があると思います。その場合は、下記②の回避方法を検討していただければと思います。

 

②配当を行うことにより課税留保金額を生じさせない方法

課税留保金額を生じさせないように配当を行うことが、留保金課税の適用を回避する方法の一つであると考えられます。

この場合、個人が株主である場合には、所得税の計算上、総合課税となり超過累進税率が生じることから、トータルの税の負担を考えると不利になる可能性があるので注意が必要です。(最大で50%超の税率負担となる。)

親法人が外国法人の外資系企業である場合には、親会社の所在している国の現地法令及び日本とその国が締結している租税条約の内容について確認を行い、トータルの税の負担がどのようになるのか事前にシミュレーションを行うことをオススメします。

また、配当を行う場合には、原則、源泉所得税の徴収が必要となる点、留意ください。

【参考法令等】

法人税法67条

 

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