Question
米国法人A社が、日本法人B社へ貸付を実施し、B社から年利6%で利息を収受します(A社は日本に支店を有しないものとする)。
なお、当該貸付金はB社の日本での国内業務に使用されます。
この場合の課税関係を教えてください。
Answer
(1) 所得税の課税関係
外国法人は、一定の国内源泉所得について課税をされます。
そして、国内において業務を実施する者からその国内業務に関して収受する貸付金の利息については国内源泉所得に該当することとされています。
国内業務に関して収受する貸付金の利息について対して適用される税率は20.42%です。
(2) 所得税(源泉徴収)の課税関係
外国法人に対して一定の支払いをする者は、源泉徴収義務を負います。
そして、当該源泉徴収義務を生じさせる一定の支払いの中には、外国法人に対する貸付金利息が含まれます。
よって、B社は当該利息支払いに関して源泉徴収義務を負い、この場合に適用される税率は20%です。
(3) 法人税の課税関係
外国法人は、国内源泉所得につき課税をされます。
ただし、恒久的施設(支店等)を有さない外国法人は、一定の国内源泉所得に関して課税を受けるのみで課税関係が完結します。
そして、当該一定の国内源泉所得の中には、内国法人から収受する貸付金利息は含まれていないため、法人税は課税されません。
(4) 租税条約に基づく課税関係
日米租税条約に基づくと、日本に恒久的施設を有しない米国法人は、内国(日本)法人から収受する貸付金利息について10%までしか課税されません(日米租税条約11条2項)。
(5) 課税関係まとめ
以上を踏まえ、A社は日本の10%の課税を受けるが、B社による源泉徴収のみで課税関係は完結することになります。
【参考法令等】
所得税法161条①六、179条①一、212条
法人税法144条の6
日米租税条約11条②