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概要

海外に子会社を有しているケースは最近増えてきています。

その海外子会社に対して支援する目的で無利息により貸付を行うこともあるでしょう。

このような場合、税務上のリスク(問題点)が生じてしますこととなります。今回はこのようなケースについての解説を行います。

Question

弊社は海外に子会社を有していますが、その子会社に対して無利息で貸付することを予定しております。
この場合の税務上の留意点を教えてください。

Answer

(1)法人税法における無利息貸付けの税務上の取扱い

通常、金融機関から借り入れを行う場合には、第三者間契約として正常な条件での取引が行われていると考えられます。
一方、金融機関以外の方からの借り入れである場合には、これまでの契約者間の関係性等を踏まえて、利息の授受を行わないことや著しく低利で利息の収受を行うことがあります。
この点、法人税法では、無利息取引というのは、法人税法第22条において、『各事業年度の所得の金額の計算上、その事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。』とされており、課税対象取引とされます。

(2)無利息貸付けの課税関係について

このように金銭の貸借に際して、貸借の当事者間で利息の授受をしていなくても、貸し手に対しては法人税が課税される可能性があり、無利息で資金の収受を行なった場合、貸手側から借手側に対して利息相当額を寄附したとみなされます(当該寄附は、一定の金額については損金不算入)。
よって、日本親会社から海外子会社へ貸付を実施することは多いですが、無利息となると寄付金認定されるリスクがあります。
すなわち、「(寄付金)×× / (受取利息)××」という取引が認定され、寄付金は海外関連者への寄付として損金不算入となるため、受取利息相当額が課税されてしまいます。

(3)適正な利息(利率)

日本本社における銀行との平均借入率をベース等の合理的であると認められる利率により利息を収受するといった対応が必要になると考えます。
例えば、金融機関から4本の融資を受けていて、それぞれに適用される利率が1%、2%、3%、4%の場合は、金銭の貸借に際しては平均2.5%の利率を適用すべきと考えられます。

(4)無利息貸付が寄付金認定されないケース

法人税法基本通達9-4-2によると、法人がその子会社等に対して金銭の無償若しくは通常の利率よりも低い利率での貸付け又は債権放棄等(以下9-4-2において「無利息貸付け等」という。)を行なった場合において、その無利息貸付け等が例えば業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので合理的な再建計画に基づくものである等その無利息貸付け等をしたことについて相当な理由があると認められるときは、その無利息貸付け等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとされております。
よって、今回貴社が想定されている取引が、上記の法人税法基本通達9-4-2に該当するか否かが論点の一つとなると考えられます。

(5)その他留意点

無利息貸付取引だけではなく、一般的に考えられる契約条件よりも著しく異なっている場合には、留意が必要となります。
また、金融機関以外の者との間で、金銭を貸借する場合、貸借した金額、返済方法、利率等について、当事者間で書面に残しておくことが重要です。

【参考法令等】

法人税法22条
法人税法基本通達9-4-2

 

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