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概要

海外に子会社を多数有する場合、親会社が直接株式を保有するのではなく、中間持株会社を設立することも考えられます。

今回は、中間持株会社についての解説を行います。

Question

海外に中間持株会社を設立する場合、設立の候補にすべき国や設置にあたっての留意点を教えてください。

Answer

(1)中間持株会社とは

中間持株会社とは、持株会社のうち親会社の傘下で近似の業種に属する複数の子会社を統括する種類の会社のことです。
すなわち、経営の合理化を図るため、既存のそれぞれの幾つかの子会社を新設の持株会社の傘下に配置するような場合、このような形態の持株会社を中間持株会社と呼びます。
例えば、日本の代表企業であるソニーも、ソニー傘下にソニーフィナンシャルホールディングス (ソニー傘下。ソニー生命、ソニー銀行など金融部門を統括)やソニー・ミュージックエンタテインメント(ソニー傘下の音楽部門子会社)を保有しております。

(2)中間持株会社の設置目的

中間持株会社の設置目的として、例えば以下が挙げられます。
 ①コスト削減
  ・人事・経理等の管理機能の集約
  ・地域統括会社に利益を集約することによるグループ全体の実効税率低減
 ②事業戦略
  ・設立地域における事業戦略の策定、販売・マーケティン統括統括
 ③リスク管理
  ・法務機能及び知的財産権管理機能等の一元化

(3)中間持株会社設立国とすべき国

一般的に、中間持株会社にふさわしい国としては、当該中間持株会社の設立および設立後の管理が容易である国が挙げられます。
具体的な中間持株会社設立国とすべき国としては、例えば、アジア諸国では、シンガポール、香港等が代表的な中間持株会社として挙げられます。
また、ヨーロッパ諸国では、オランダやイギリス等が代表的な中間持株会社として挙げられます。

(4)中間持株会社の留意点

税務上の利点のみを考えてタックスヘイブン国に中間持株会社を設立すると、実際のビジネス上の統括会社として機能しない可能性があります。
例えば、被統括子会社群がアジアにある一方で、中間持株会社がオランダにあるような場合がそれに該当します。
よって、ビジネス、法務、会計、税務等色々な視点から中間持株会社設置国を検討する必要があります。
また、日本のタックス・ヘイブン対策税制に抵触し、中間持ち株会社で生じた利益が日本で課税されないように留意する必要があります。

(5)中間持株会社設立方法

中間持株会社を設立する場合、日本の親会社の直下に100%保有関係でぶら下がっている子会社を、中間持株会社の下に移す必要があります。
最も単純で実務上採用されることが多いのは、現物出資の方法です。
すなわち、親会社としては、新たに設立した中間持株会社に対して当該地域の子会社株式を譲渡し、その対価として新たに、中間持株会社の株式を取得します。
また、中間持株会社としては、新規で日本の親会社に対して新株を発行する代わりに、当該地域の子会社株式を取得する方法です。

 

 

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