Question

当社は、当期において当社が株式の100%保有している会社と日本国内にある土地の譲渡を行うことになりました。

当該譲渡の対象となる土地の税務上の帳簿価額は10億円、時価は15億円となっており、譲渡対価は時価である15億円になります。

この場合の法人税の取扱いを教えてください。

 

Answer

(1)法人税の取扱い(譲渡側)

①譲渡時の取扱い

本件土地の譲渡により生じる譲渡益5億円は譲渡損益調整資産に係る譲渡益であることから、譲渡対価の額から譲渡原価の額を差し引いた5億円が損金の額に算入され、一定の事由が生じた時に益金の額に算入することになります。

 

平成22年の税制改正において、100%の出資関係にある法人のグループ間取引のうち、譲渡損益調整資産の譲渡については課税の繰り延べが行われることが制度化されました。

 

譲渡損益調整資産とは、下記(3)①の通りです。

本件事例の土地についてに当てはめますと、①完全支配関係がある法人グループ内での土地の譲渡である、②固定資産である、③税務上の帳簿価額が10億円と1,000万円を上回っている、とすべての要件を満たしていることから、譲渡損益調整資産に該当すると考えられます。

そのため、譲渡対価の額である15億円から原価の額である帳簿価額10億円を差し引いた5億円について課税の繰り延べの対象となります。

法人税の計算上は、一旦収益を認識して、課税の繰延が行われる金額である5億円を損金の額に算入することとなります。

別表上は、留保項目により5億円を減算調整するのみとなります。(譲渡以前に当該土地について申告調整等が行われていない前提)

 

なお、消費税の計算上、認識する対価の額(本件ですと、土地の譲渡であるから非課税売上げの額)は譲渡対価の額である15億円になります。

あくまで、消費税は対価の額を基準として計算するものになるため、このような取扱いになります。

 

②戻入れについて

この制度により課税の繰延を行なった場合において、一定の事由の戻入れ事由が生じたときは、その繰延を行なっていた金額について、戻入れが行われることとなります。

一定の事由とは、譲渡損益調整資産の譲渡、償却、評価換え、貸倒れ、除却等がこれに該当します。

 

(2)法人税の取扱い(譲受側)

譲渡損益調整資産を取得した場合においても、取得価額は通常の取引と同様に購入対価及び事業の用に供するために支出した費用の合計額になります。

本件事例ですと、対価の額である15億円が取得価額になります。(対価の額以外に支出がない前提)

 

(3)用語の意義

①完全支配関係とは

 完全支配関係とは、一の者が法人の発行済株式もしくは出資(自己の株式または出資を除く)の全部を直接もしくは間接に保有する関係で一定のものまたは一の者との間に当事者間の完全支配関係がある法人相互の関係をいう。

②譲渡損益調整資産について

譲渡損益調整資産とは、完全支配関係がある法人グループ内で譲渡などの取引が行われた資産のうち、下記のいずれの要件を満たす資産のことをいう。

(イ)その資産が固定資産、棚卸資産である土地等、売買目的有価証券以外の有価証券、金銭債権及び繰延資産であること。

(ロ)その資産の譲渡直前の帳簿価額が1,000万円以上のものであること(ここでいう帳簿価額は税務上の帳簿価額とされています。)

(4)その他事項

譲渡損益調整資産に該当する資産の取引を行う場合、取引の相手方に通知する義務が生じます。

なお、通知の方法は、譲渡法人と譲受法人は基本的に民間業者であることから、特に方法や手続き等は法令化されておりません。

また、連結納税を採用している場合には、連結法人噛んで情報や帳簿などの集約を行なっていることから、事実上通知行為が行われていると考えられます。

そのため、形式的な通知は省略してもよいとされています。

 

通知の具体的な内容は、下記リンク先の国税庁の資料をご確認いただければと思います。

(5)参考法令

法人税法61条の13

 

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