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 Question

この度、海外子会社A社及びB社がA社を合併存続法人として合併しました。
この場合の日本での課税関係についての考え方を教えてください。

Answer

(1)外国における組織再編制に係る我が国租税法上の取扱いについて

経済のグローバル化に伴い、日本企業の海外子会社が外国において組織再編成を行う事例が増加する一方、外国の組織再編成に対する日本の課税上の取扱いが不明確であったことから、日本企業の海外展開に悪影響を及ぼしているという指摘があったため、日本租税研究協会(国際的組織再編等課税問題検討会)において、平成24年4月に「外国における組織再編制に係る我が国租税法上の取扱いについて」(以下「本報告書」)が公表されました。
同報告書では、外国法を準拠法として行われた組織再編行為が、日本の「合併」、「分割」、「株式交換」に該当するか否かということについて考え方が整理されることとなりました。
なお、本報告書は、日本租税研究協会の報告書という位置付けではありますが、日本の国税当局との情報共有及び協議を経た上での結論であり、その内容は国税当局の関係部局においても周知されておりますので、本報告書の公表により、税務上の取扱い安定性が高まり、円滑な税務実務準備に資することとなったと考えられます。

(2)本報告書の基本的な考え方

本報告書においては、外国での組織再編成行為が、日本における組織再編成行為が有する「本質的要素」と同じ要素を備える場合には、外国での組織再編行為が日本における組織再編成と同様の取扱いとすべきであるという基本的考え方の下、組織再編の類型ごとに、その「本質的要素」が整理されています。
そして、外国の組織再編成行為について日本での組織再編行為と類似と判断された後に、日本の適格組織再編成の要件を充足するかどうかの判定が行われ、日本での具体的な課税関係が定まることになります。

(3)合併の場合の考え方

合併行為については、日本で会社法においてその規定があるものの、諸外国においては、同様の法規制がある国もあればない国もあります。
このような各国の法規制の違いに鑑み、諸外国の組織再編行為が日本の税法上の合併に該当するか否かについて、本報告書において、合併の本質的要素は、「包括承継」及び「自動消滅」と整理され、考慮すべきものとして、以下の4点が挙げられております。
 ①消滅会社(B社)の資産及び負債の全部が移転すること
 ②消滅会社(B社)は資産及び負債の全部の移転後に速やかに解散すること
 ③存続会社(A社)株式が消滅会社(B社)株主に交付されること
 ④当事者間の契約のみならず、上記①から③について、裁判所の許可等一定の法的手続を経て行わること。

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