概要

近年、日本の会社でも外国に進出して事業を行なっているケースが多くなってきていると思います。

今回は、海外向けのオンラインショップ事業を行う場合の税務リスクなどについて解説を行います。

Question

弊社はブラジル進出にあたりオンラインショップの形式で海外進出を予定しておりますが、税務上特に留意すべき事項を教えてください。

Answer

(1)電子商取引と恒久的施設(PE)の関係

電子商取引は、「eコマース」、「イートレード」、「ネットショッピング」等と呼ばれ、コンピュータネットワーク上での電子的な情報通信によって商品を売買したり、サービスを提供したりすることをいいます。
企業間での取引はもとより、近年はWeb上の店舗で商品を販売するオンラインショップや、個人と個人の間で売買をするオークションなども活発化しております。
特に、日本に居ながら、あたかも現地の販売子会社としての機能を有するウェブサイト等を通じて事業を行うことが、現地で恒久的施設(PE)となるかが問題となる可能性があります。

(2)PEなければ課税なし

恒久的施設(PE)とは、一般的に事業を行う一定の場所等をいいます。
PEの有無は、企業が海外で事業を行う際に、その活動から生じる所得が進出先対象国の税務当局の課税権に服するか否かを決定する重要な指標となります。
例えば、非居住者および外国法人が日本国内で事業を行っていても、日本国内にPEを有さない場合には、その非居住者および外国法人の事業所得は日本で課税されることはありません。
このような「PEなければ課税なし」という考え方が、事業所得税課税の国際的な標準ルールとなっております。

(3)事業を行う一定の場所

ウェブサイト自体は有形物ではなく、通常、事業の場所とはなり得ませんので、PEには該当しません。
一方、サーバーは機器であるため、事業の場所となり得ます。
したがって、企業が自らサーバーを所有して運営する場合には、サーバーの所在する場所が事業を行う一定の場所とみなすことができると考えられます。
ただし、最近のウェブサイトの運営の傾向として、自社サーバーを設置して運営するのではなく、AWS等のクラウドサーバーサービスを使用する企業が多いと考えられることから、このケースに当てはまる事例は多くないと考えられます。

(4)事業活動と補助的・準備的活動

サーバー等のコンピューターが所在する場所はPEとなる可能性がありますが、同サーバーを利用した活動が補助的・準備的活動の性質のものであれば、その活動自体を行う場所はPEとはなりません。

(5)現地での活動が事業活動とされる例/補助的・準備的活動とされる例

現地での活動が事業活動とされる例/補助的・準備的活動とされる例は以下の通りです。
 ①現地での活動が事業活動とされる例
  (イ)自らのサーバーを運営する事業を行なっていること
  (ロ)顧客との契約締結、支払処理、配送等までを自ら行なっていること
 ②現地での活動が補助的・準備的活動とされる例
  (イ)物品、サービスの広告
  (ロ)情報の提供
  (ハ)企業のための市場データの収集

(6)まとめ

以上より、商品管理や決済、配達業務等の全ての業務を現地の外部業者に委託してオンラインショップの形態でブラジルで事業を実施する場合には、特にブラジルにおいて課税は生じないと考えられます(「PEなければ課税なし」の原理原則に基づく)。
一方、商品管理のシステムを現地で設置し、その他業務管理等も現地で自ら実施する場合には、現地でPEと見なされて課税される可能性があるので留意してください。

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