概要

内国法人が海外に進出する場合、現地(海外)に支店を設置する方法か子会社を設立する方法になるかと考えられられます。

いずれの方法についても、税務上、メリット・デメリットがあり、今回はこれらの内容について解説を行います。

Question

弊社は来年、海外に進出する予定ですが、現地に子会社設立するか支店を設置するか悩んでおります。
現地子会社と支店設置での税務上の違いを教えてください。

Answer

(1)支店と子会社の違い

支店は親会社の一部を構成するもので(法人格がない)、本店も支店を合わせて1つの会社になります。
一方、子会社は親会社とは別法人であり(法人格がある)、子会社単独で1つの会社として機能することとなります。

(2)支店税制上の規制

海外に支店を設立する場合、通常は、支店は現地国でPE(恒久的施設)に該当することとなります。
したがって、現地国の税制や日本との租税条約の内容を鑑みて、支店の業務範囲によってPEに該当する場合には現地での税務申告手続(法人税申告等)を行う必要があります。
なお、支店の所得計算算定に際しては、独立企業間価格による所得計算が必要となりますので、本支店間の取引価格を恣意的に操作して税率の低い国に利益を付け替えるような行為はできない点に留意してください。

(3)支店と子会社の課税方法の違い

・支店の課税方法

支店は営業活動を行うため、通常はPEに該当し、その海外支店がある現地で法人税が課税されます。
海外支店は日本にある本店と同じ会社ですので、海外支店の利益は、日本の親会社利益と合算されて支店利益を合わせた全世界所得として課税されます (この場合に、日本と現地国で二重課税が生じてしまいますが、海外で実際に支払った外国法人税を外国税額控除という方法を用いることで二重課税を回避することができます)。
また、支店で損失が生じたとき、支店の欠損金を日本本店の所得と相殺して税務申告することができます。

・海外子会社の課税方法

海外子会社は、日本の親会社とは別法人であり、進出先である外国現地の法人となりますので、海外子会社が稼いだ利益に対しては、当該外国に所在する他の外国法人と同じように、進出先諸国で法人税等の税金が課税されますが、当該子会社が日本でタックスヘイブン課税を受ける場合を除いて、原則として日本では税金は課税されません。

(4)運営資金の送金

子会社や支店を設立の際に本社から子会社や支店に資金送金を行う場合には、一般的には支店への送金の方が有利となります。
これは、本社と子会社は別会社であり、会社間の資金の移動が生じることに起因し、例えば、子会社設立の場合には、資金送金の際に資本金としての送金なのか貸付金としての送金なのか等、明確に区分されるためです(過小資本税制や最低資本金等の規制が生じる)。
また、本店への資金還流については、子会社から外国親会社への配当に際しては、源泉税が課されますが(当該源泉税又は配当については、日本の親会社では外国税額控除制度の適用、又は、外国子会社配当金の益金不算入制度の適用を受けることができます。)、支店から外国親会社への配当に際しては、原則として源泉税は課されません。

(5)まとめ

例えば以下の点で、海外支店を設立する方が、現地子会社を設立するよりも実務手続き等の観点からは有利な点が多いと考えられます。
・本店からの資金移動が比較的容易
・支店から本店への資金移動に源泉税がかからない
・損失が生じたとき、支店の欠損金を日本本店の所得と相殺して税務申告できる
・現地法人と比べ、会社撤退が比較的容易
ただし、会社設立の場合には、税務上も国によって取扱いが大きく異なりますので、専門家による進出国に特化した詳細な確認や税務以外の観点からの検証も必要となります。

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加