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(1)概要

法人は営利を目的として存在している組織であり、そのようは前提の組織であることから、法人が行う取引は基本的に「時価」で行われるとの考えられ、法人税についてもこの考えを前提に時価で課税することを要請しております。

そのため、何も理由なく「時価」と異なる金額で取引を行う場合には、寄附金・受贈益等の課税関係が生じることとなります。

しかし、この「時価」が何円であるかという議論が実務上よく発生することとなります。

(2)「時価」とは

時価とは一般的には「その取引時において、不特定多数の当事者間で自由に市場において取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額」を言います。

そのため、証券市場が存在する株式等の時価は、その取引時の株式市場の価額になるでしょう。

法人税上、時価の明確な規定はありませんが、この考え方とほとんど同じものになります。

税法上、唯一時価が定義されているのは相続税財産評価基本通達になります。 

<財産評価基本通達1(2)>

  財産の価額は、時価によるものとし、時価とは、課税時期において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、この通達の定めによって評価した価額による。

また、時価が一つしかないというとそうではなく、例えば金の市場は世界中に存在して、その市場ごとに金額が形成されております。

建物等を売買する際は、不動産鑑定士に鑑定を依頼することも一つの手でしょう。

(3)法人税の計算上時価を使用するケース

法人税の計算上、資産負債について時価評価が必要となるケースが存在します。

具体的には下記のようなケースです。

  1. 連結納税の開始時における資産の時価評価課税
  2. 連結納税の加入時における資産の時価評価課税
  3. 非適格株式移転・非適格株式交換時の完全子法人が有している資産の時価評価課税

(4)「時価」で譲渡があったとみなす場合

法人が一定の取引を行なった場合、その取引は譲渡には該当しないが、「時価」により譲渡があったものとみなすことがあります。

具体的には下記のような取引が該当します。

  1. 非適格合併による資産負債の移転
  2. 非適格分割による資産負債の移転

(5)法人税法上の文言について

法人税法上、「時価」というワードがそのまま記載されていることはありません。

具体的にどのような記述があるかと言いますと、「通常要する価額」「その時の価額」などです。

法人税は基本的に時価取引を原則としていることから、金額に関する記述は「時価」を前提にしているものであるという理解で問題ないと考えられます。

(6)まとめ

時価の算定方法は様々な方法が存在することから、時価を使用する場面に遭遇した場合には、後日行われる税務調査において指摘を受けない様に、慎重に検討を行なっておく必要があります。

取引の性質に応じて、鑑定士等の専門家に相談を行なったりすることもひとつの手だと考えられます。

機械装置を市場価格より高い値段で購入した場合の取扱いについて(法人税)

 

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