概要
法人が役員に対して支給する給与(報酬)は、一定の要件を満たしていなければ損金の額には算入されません。
損金の額に算入される給与として、業績連動給与というものがあります。
今回は、この業績連動給与の事例についての解説を行います。
Question
当期において業務執行役員A氏の貢献により(その他業務執行役員4名)により売上高が3倍に急増しました。
A氏の活躍に報いるために500万円を利益指標を基礎としてA氏に対してのみ金銭により臨時ボーナスを支給しました。
この場合の法人税の取り扱いを教えてください。なお、当社は同族企業に該当しません。
Answer
(1)結論
ご質問の給与は業績連動給与に該当しますが、損金算入要件を満たさないと考えられます。
また、定期同額給与に該当しないと考えられます。
したがって、事前確定届出給与に該当し適正な届出を行なっていない場合には、その支給した臨時ボーナスの全額が損金の額に算入されないと考えられます。
(2)内容
内国法人がその業務執行役員に対して支給する業績連動給与で、一定の要件を満たすものについては損金の額に算入されることとされています。
その要件のひとつに「他の業務執行役員の全てに対して次に掲げる要件を満たす業績連動給与を支給する場合に限る。」というものがございます。
貴社はA氏以外に業務執行役員が在籍しており、ご質問の臨時ボーナスはA氏に対してのみ支給されているものであることから、損金算入要件を満たさないと考えられます。
また、臨時ボーナスであることから、支給時期が一月以下の一定の期間ごとである給与でその事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものには該当せず、定期同額給与には該当しないと考えられます。
したがって、事前確定届出給与に該当し適正な届出を行なっていない場合には、その支給した臨時ボーナスの全額が損金の額に算入されないと考えられます。
【参考法令等】
法人税法34条①三