概要
法人が役員に対して支給する給与(報酬)は、一定の要件を満たしていなければ損金の額には算入されません。
損金の額に算入される給与として、事前確定届出給与というものがあります。
今回は、この事前確定届出給与について、税務署に提出した届出書の金額と異なる金額を支給した場合の取扱いについての解説を行います。
Question
事前確定届出給与として事前に届け出た金額が100万円でしたが、業績好調であったため150万円支給しましたが、どのような取り扱いになりますか。
Answer
支給額全額(150万円)が損金不算入になります。
事前確定届出給与とは、その役員の職務につき所定の時期に、確定した額の金銭等を支給する旨の定めに基づいて支給する給与で届出を適正に行う等の一定の要件を満たす給与とされています。
本件は、事前に支給が確定していた金額は100万円でありますが、実際の支給額は150万円とのことで、この場合、100万円については事前に確定している部分の金額として損金の額に算入されないかという疑問があるかと思います。
しかし、事前確定届出給与とは、上記の通り、支給時期、支給金額が事前に確定し、実際にもその定めのとおりに支給される給与に限られるのであるとされています。
このことから、税務署長へ事前確定届出給与にかかる届出により届け出た支給額と実際の支給額が異なる場合には、その全額について事前に支給額が確定していたものといえないと考えられます。
そのため、事前確定届出給与に該当しないものとなり、定期同額給与及び業績連動給与に該当しないことから、今回のケースのように増額支給であれば増額分だけでなく実際の支給額の全額が損金不算入となります。
【参考法令等】
法人税法34条①二
法人税法基本通達9−2−14