Question

平成30年度税制改正において恒久的施設(PE)関連規定が見直されると聞きましたが、その内容を教えてください。

Answer

(1)恒久的施設(PE)関連規定が見直しの概要

平成30年度税制改正においては、「BEPSプロジェクト」の合意事項が盛り込まれたBEPS防止措置実施条約やOECDモデル租税条約を踏まえ、国際合意に則り必要な制度改正が行われる予定です。
具体的には、国際課税における基本的な概念である「恒久的施設(以下「PE」という。)」の定義について、租税条約と国内法の適用関係を明確化し、PE認定の人為的回避に対応するなどの見直しが行われています。

(2)PEとは

①PEの概要
恒久的施設は、非居住者および外国法人の課税関係を決める上での大きな指標となるものです。
非居住者及び外国法人が日本国内で事業を行っている場合であっても、日本国内にPEを有していない場合には、当該非居住者および外国法人の事業所得は日本で課税されることはありません。
これは、「PEなければ課税なし」という基本的考え方が、事業所得課税の国際的なルールとなっているものです。

②改正前におけるPEの範囲
PEの範囲は、国内法、租税条約およびOECDモデル条約にそれぞれ規定がありますが、日本の国内法においては次の3つに区分されています。
(イ)支店PE
支店、出張所、事業所、事務所、工場、倉庫業者の倉庫等の場所をいいます。
ただし、単純に資産を購入したり、保管したりする用途のみに使われる場所、あるいは広告、宣伝、情報の提供、市場調査、基礎的研究等、その事業の遂行にとって補助的な機能を有する活動を行うためにのみ使用する場所は含まれません。

(ロ)建設PE
建設、据付け、組立て等の建設作業等のための役務の提供を、1年を超えて行う場合のその場所をいいます。

(ハ)代理人PE
非居住者のために、その事業に関し契約を結ぶ権限のある者で、常にその権限を行使する者や在庫商品を保有しその出入庫管理を代理で行う者、あるいは注文を受けるための代理人等をいいます。
ただし、代理人等が、その事業に係る業務を非居住者に対して独立して行い、かつ、通常の方法により行う場合の代理人等(独立代理人)はPEとみなされません。

(3)PE認定の人為的回避防止措置の導入

代理人PEにつき、その範囲に、国内において非居住者又は外国法人のために、その事業に関し反復して契約を締結し、又は一定の契約の締結のために反復して 主要な役割を果たす者で、これらの契約が非居住者等の資産の所有権の移転等に関する契約である場合における当該者を加えるとともに、独立代理人の範囲から、専ら又は主として一又は二以上の自己と密接に関連する者に代わって行動する者を除外するとされております。
また、保管、展示、引渡しその他の特定の活動を行うことのみを目的として使用する事業を行う一定の場所等は、PEに含まれないものとされますが、その活動が非居住者等の事業の遂行にとって準備的又は補助的な機能を有するものである場合に限るものとされております。
さらに、建設PEの期間要件について、契約を分割して建設工事等の期間を1年以下とすることにより建設PEを構成しないことがその契約の分割の主たる目的の一つであった場合には、分割された期間を合計して判定を行うこととされます。

(4)租税条約上のPEの定義と異なる場合の調整規定等の整備

これまで、租税条約上のPEの定義と国内法上のPEの定義が異なる場合の取り扱いが明確ではありませんでしたが、日本が締結した租税条約において、国内法上のPEと異なる定めがある場合には、その租税条約の適用を受ける非居住者等については、その租税条約上のPEを国内法上のPEとすることとされました。

また、支店PE、建設PE、代理人PEについても、以下の通り定義が改められます。
①支店PE
支店PEについて、その範囲を国内にある支店、事務所等その他事業を行う一定の場所に改める。

②建設PE
建設PEについて、建設PEを構成する場所を、国内にある建設工事を行う場所等に限定する。
③代理人PE
代理人PEについて、在庫保有代理人及び注文取得代理人の定義に関する規定を削除するとともに、同業者代理人に関する措置を廃止する等の措置が講じられる予定です。

【関連条文】
・法人税法141条
・法人税法施行令185条、186条
・所得税法164条
・所得税法施行令289条、290条

 

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