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概要

内国法人が海外に進出する際、現地に支店等を設置する方法と子会社を設立するなどの方法が想定されます。

いずれにしても、恒久的施設(PE)として取扱われることとなる場合、現地(海外)で法人税に相当に相当する深刻・納税等を行う義務が生じることとなります。

今回は、海外に子会社を設立する場合のPE認定 (恒久的施設認定)を受ける可能性について、解説を行います。

Question

恒久的施設(PE)は、通常は現地国における支店形式の事業形態で問題になる可能性があると理解しております。
子会社形態で海外進出する場合は、問題ないでしょうか。

Answer

(1)通常想定されるPE認定

海外での事業所得が現地において課税されるのは、原則として、PEが存在する場合のみとなります。
また、課税の対象とされる所得は、PE事業活動から得た事業所得のみとされています(いわゆる「PEなければ課税なし」)。
そして、PEのとされる可能性のある典型事例は 「支店」、「工場」等ですが、最近では一定の役務提供(サービスPE)、代理人を使って行う事業(代理人PE)と認定されたことに伴う課税事例が多くあります。

(2)子会社がPEとされるケース

現地の子会社がPEと判定されるケースとしては、主に次の2つが考えられます。
 ①親会社が、親会社自身の現地での事業拠点として子会社のオフィスの一部を借り、親会社自身の事業を行うケース
  子会社自身がPEとなるのではなく、オフィスの一部がPEとなります。

 ②現地子会社が、親会社自身の代理人として営業活動するケース
  子会社が親会社に従属し、従属代理人となっている実態があるかどうかがポイントとなります。

とある企業の名において契約を締結する権限を有し、かつ、その権限を常習的に行使している代理人(契約締結代理人)が、当該企業に従属している実態がある場合には、その企業のPEとされます。
すなわち、子会社が親会社の契約締結代理人として活動し、親会社に従属しているような実態がある場合には、当該子会社の実施する活動が補助的・準備的活動とみなされる場合等を除き、親会社のPEとみなされる可能性があります。

(3)独立代理人とされる場合の判定例

代理人が常習代理人として判定され、PE認定されないためには、以下の独立代理人としての判定基準を満たす必要があると考えられます。
 ①代理人として当該業務を行う上で、詳細な指示や包括的な支配を受けず、十分な裁量権を有するなど本人である外国法人から法的に独立していること。
 ②当該業務に係る技能と知識の利用を通じてリスクを負担し、報酬を受領するなど本人である外国法人から経済的に独立していること。
 ③代理人として当該業務を行う際に、代理人自らが通常行う業務の方法又は過程において行うこと。

(4)子会社がPEとされた事例

米国企業であるアマゾンは、2009年7月に、米国本社機能の一部が日本にあるとして東京国税局より140億円程度の追徴課税処分を受けました。
アマゾンは日本に子会社を有しておりますが、当子会社はあくまで物流機能だけを担い、日本の顧客がアマゾンのサイトで買い物をした場合は米国のアマゾンから直接購入していることとなっているので、米アマゾンは日本にはPEを持たず、日本では法人税の支払義務がないというのがアマゾン側の主張です。
一方で、東京国税局は、その日本の子会社が米アマゾンのPEにあたり、日本で納税義務が生じると主張しました。
すなわち、上記(2)②のケースに該当するものとされております。
このように、子会社がPEとして認定される事例は実際に発生しているため、留意が必要となります。

【参考法令等】

法人税法基本通達20-2-5

 

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