Question

「駐在員事務所は、現地で課税されない」と聞きましたが、その認識であっておりますか。

Answer

(1)結論

「恒久的施設(PE)なければ課税なし」という国際税務の基礎的理念に基づき、駐在員事務所は現地で税務申告義務は生じません。

(2)駐在員事務所とは

企業の海外進出形態は、主に、現地法人・支店・駐在員事務所の3種類です。
駐在員事務所は、企業が海外で本格的な営業活動を行うための準備を行う拠点として設置する拠点となります。
市場調査、情報収集、物品の購入、広告宣伝等の補助的活動を行うことができますが、収益を伴う直接的営業活動を行うことはできません。
各国で駐在員事務所の設置方法は異なりますが、例えば、日本の駐在員事務所の設置手続きですが、設置の登記をする必要がありません。
そのため、日本国内にオフィスを設ければ、特に何か手続きをすることなく、駐在員事務所としてスタートすることができます。
また、駐在員事務所の名義での金融機関口座開設や、不動産の賃借を行うことは通常できませんので、駐在員事務所の代表者が個人として代理人の形で契約当事者になったり、外国企業の本社が代理で契約の当事者となります。

(3)駐在員事務所のメリット及びデメリット

 ①メリット
  (イ)現地での法人税課税等生じない
  (ロ)組織の維持管理が比較的容易
 ②デメリット
  (イ)市場調査、海外進出する際の規制調査等に活動が限定されており、営業活動 (収益を伴う活動)ができない
  (ロ)駐在員事務所名義で銀行口座開設や事務所の開くことが難しい

(4)駐在員事務所ができること

駐在員事務所ができることとして、例えば以下が挙げられます。実施できる業務が準備的・補助的活動に限られるという点がキーポイントとなります。
 ①本国親会社に対する市場調査に係る情報収集・情報提供活動
 ②宣伝・広告活動
 ③物品購入と保管業務

(5)まとめ

駐在員事務所は現地の情報収集、市場調査、広告宣伝等を実施する組織体であり、通常はPEには該当しません。
よって、「恒久的施設(PE)なければ課税なし」という国際税務の基礎的理念に基づき、駐在員事務所は現地で税務申告義務は生じません。
ただし、駐在員事務所が現地で契約締結や販売活動等を実施している場合には、恒久的施設(PE)と見なされて現地で課税対象となる可能性があるので、あくまで補助的活動を行る組織であり、営業活動を行なっていないという点が重要です。

(6)その他留意事項

特に、中国において、現地駐在員事務所をPEとみなすことで法人課税を行う等、課税が強化される傾向にあります。
中国における外国の駐在員事務所(外国企業常駐代表機構)は本社のための情報収集・連絡業務等の準備的・補助的活動を行うことが認められ、原則として直接的な営業活動は認められておりませんので、本来は課税所得および課税収入が発生せず、課税対象とはなりません。
しかし、中国税務当局は駐在員事務所が実質的に行なっている活動内容に着目し、税務上の観点から、営業活動を行っているとみなし、一定の条件を満たす駐在員事務所に対しPEとみなすことで課税強化を行っております。

 

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