(1)勘定科目ごとの留意・注意点の概要

決算における処理は、その会社の利益額を決定するものになります。

誤った決算処理を行なってしまえば、決算書の数字を元に計算が行われる申告数値も誤ってくることとなります。

勘定科目ごとにそれぞれ特有の留意・注意すべき点があるので、それぞれ解説を行なっていきたいと思います。

今回は売掛金勘定について解説を行なっていきます。

(2)売掛金勘定について

①概要

売掛金とは、事業の遂行上生じた未収金になります。

期末における売掛金の金額(残高)は、もちろん、得意先に対して有している未収入額と一致することとなります。

得意先台帳等により売掛金の管理を行なっている場合、期末時点の得意先台帳等の未収入額と売掛金勘定の残高との突合を行い、一致しているか確認を行う必要があります。

これらの金額が一致していない場合、いずれかが誤っていることとなりますので、期中の動きを再度確認する必要があるでしょう。

②売掛金の消し込みについて

売掛金の会計処理は基本的に下記の通りに行われるでしょう。

<前提>

売上額(税込)10,800

入金額    10,800

期末売掛金      0

 

<売上計上時>

売掛金 10,800 / 売上    10,000

             仮払消費税      800

 

<入金時>

現金預金 10,800 / 売掛金 10,800

 

しかし、全てが上記の通りに進むのではなく、下記のような要因により売上計上額と入金額が異なる場合があります。

→売掛金(売上金額)の修正

→振込手数料の受取人負担分

それぞれ詳細は下記で解説を行います。

 

・売掛金(売上金額)の修正

いったん計上した売掛金(売上金額)の金額について修正が行われる場合があります。売掛金(売上金額)の金額について修正が行われた場合、会計上も修正を行わなければ売掛金の残高が誤ることとなりますので注意が必要です。

 

・振込手数料の受取人負担分について

売掛金の振込に際して振込手数料を受取人または支払人のいずれかが負担することになりますが、受取人が負担する場合、請求金額から振込手数料を差し引いた金額で振込が行われることがよくあります。

この場合、振込金額が過小となることから、会計上、振込手数料について支払手数料等の費用計上を行わなければ、売掛金の残高が過大となってしまうので注意が必要です。

 

<前提>

売上額(税込)10,800

振込手数料    108

入金額    10,692

期末売掛金      0

 

→支払手数料を認識しない場合(誤った会計処理)

<売上計上時>

売掛金 10,800 / 売上    10,000

             仮払消費税      800

 

<入金時>

現金預金 10,692 / 売掛金 10,692

 

支払手数料を認識しない場合、本来期末売掛金は0円になるべきところ、108円の残高が生じてしまうこととなり、費用も過小となることから決算書の数値が誤っていることとなります。

 

→支払手数料を認識する場合(正しい会計処理)

<売上計上時>

売掛金 10,800 / 売上    10,000

             仮払消費税      800

 

<入金時>

現金預金  10,692 / 売掛金 10,800

支払手数料      100

仮払消費税     8

 

支払手数料を認識する場合、期末売掛金は0円になり、正しい決算書の数値になります。

 

・まとめ

会計処理を誤ると売掛金残高が本来あるべき金額と異なることとなりますので、注意する必要があります。

上記のような特殊なケースだけではなく、単純な売掛金(売上)の計上額の誤り、相手先の間違えなどのミスも起こさないよう、日々の処理を慎重に行う必要があるでしょう。

 

③長期滞留売掛金について

長期に滞留している売掛金(例:会計・台帳上において1年以上動きがない得意先)がある場合には、その売掛金の入金が本当に行われていないか確認を行い、入金されていない場合は、その売掛金について回収可能性を検討し、貸倒損失・貸倒引当金を計上する必要があるかどうかを検討する必要があるでしょう。

 

 

表示科目も、場合によっては流動資産の部にある売掛金でなく、固定資産の部にある長期滞留債権などの科目に表示することも検討する必要があるでしょう。

そもそも、売掛金は滞留が発生しないように目を光らせておく必要があると考えられます。売掛金の支払に遅延が生じた場合は、相手に連絡を行い支払を催促するなどのアクションを起こして、滞留を生じないようにしましょう。

④粉飾決算について

粉飾決算を行う際、売上を過大に計上することがあるでしょう。その売上の相手方として売掛金を水増しして計上するケースがよくあります。

売掛金の回転期間について異常値が発生している場合には、銀行等から粉飾を行なっているのではないかと思われてしまいます。

粉飾決算は不正会計になりますので、絶対に行わないようにしてください。

⑤回収代金の不正

役員が現金等で直接代金回収した売掛金・売上がないか確認を行いましょう。

税務調査等により売上計上していない代金を現金等により受け取り、売上として処理を行なっていない場合には、重加算税が課税される恐れもあるので、注意が必要です。

⑥まとめ

売掛金勘定は、金額・動きが多くなっている会社が多いことでしょう。(もちろん、業種等により異なります。)

企業の生命線である売上に関連する勘定科目であることから、絶対に誤りがないよう、日々の記帳を慎重に行なっていきましょう。

 

 

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