概要

親会社は子会社の株主であることから、子会社の経営にタッチしなければ、子会社からの収入は配当収入のみになると考えられます。

しかし、親会社が子会社の経営管理を行なっている等の理由により、子会社が親会社に対して経営指導料を支払っているケースはよくあると思います。この経営指導料について、実態等がなければ、法人税上、寄付金に該当する可能性もあります。親会社もしくは子会社が国外関連者に該当する場合には、移転価格税制の論点も存在することとなります。

今回は、この経営指導料についての解説を行います。

Question

当社は、当社の親法人であるB社に対して経営上の助言及び指導、市場調査、人材の提供等を受けており、その対価として経営指導料を支払うこととしております。
この経営指導料の法人税法上の取扱いを教えてください。

Answer

(1)結論

その支払う経営指導料は、損金の額に算入されると考えられますが、経営指導の実態がない場合には寄附金に該当して損金算入が制限されることとなりますので、ご注意ください。

(2)内容

親会社が子会社に対して経営指導を行い、その対価として子会社が親会社に経営指導料等の名目で支払うことは一般的に行われております。
しかし、経営指導を行っていたとしても、グループ間の取引であることから、その対価の額について適正であるかどうかが税務調査において問題になることも想定されます。

なぜなら、グループ内でのサービスであり、自由にその支払金額を決定することができることから、グループ間での利益調整として使用される可能性があるためです。
そのため、親子会社間においてその対価についての支払基準等を明確にしておき、あらかじめ契約等を締結しておく必要があると考えられます。
もちろん、この支払基準等は、適正な金額を設定する必要があります。

では、その適正な金額とは何かというと、合理的であれば問題はないと考えられます。
例えば、売上、取引金額の数%相当額を、経営指導料の支払金額とするケースもあると聞きます。
ただ、単に経営指導と言っても、さまざまな取引があり、かつ、目に見えるサービスでないことから、その合理的な金額がいくらであるか悩ましい点になるでしょう。

具体的に経営指導料は下記のような事項を考慮して、その支払う金額を決定すべきと考えられます。
①企業間の関係
②役務の内容
③便益の大きさ
④役務と便益の関係
⑤独立企業間において行われる同種の契約で設定される対価と著しく乖離していないか
⑥租税回避のための価格操作と認められる金額になっていないか

なお、一度契約を行った支払基準を、特別な理由なく変更すると親子会社間での利益操作であると捉えられる可能性がある点、ご留意ください。

その役務提供が子会社にとって本当に必要なもので、かつ、経営指導料として支払っている金額が適切であるかが、寄附金に該当するか否かの判断で最大のポイントになるでしょう。

(3)適正でない金額の対価を支払った場合

適正であると考えられる金額以上に対価を支払っている場合、その適正金額以上の部分の金額については法人税法上寄附金に該当すると考えられます。
寄附金に該当する金額は、一定の金額については損金の額に算入されないこととされています。(国外関連者に対するものである場合には、独立企業間価格を超える部分の金額は、全額損金不算入となります。)

(4)税務調査に備えて

経営指導の実態があると主張するために、レポートなどの成果物を残しておくことが望ましいでしょう。

通常、外部専門家にアドバイザリー業務を委託した場合、報告書形式のレポートが成果物として提供されると思います。親会社子会社間での経営指導などについて、実際に行なっている経営指導は子会社にとって必要不可欠なものであると主張するために、レポートを成果物として提供して、それを証拠として残しておくことが望ましいと考えられます。

海外(国外関連者)との取引がある場合には、移転価格税制の適用対象となることから、特に留意が必要になる部分であると考えられます。

 

【参考法令等】
法人税法37条⑦

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加