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今回起きた災害の被災者を救援するために自社製品を提供することとなりました。自社製品の提供に要した費用は、交際費又は寄附金として取扱うべきものになるでしょうか?
また、個別対応方式により仕入税額控除を計算する場合、この提供した自社製品の製作のために要した課税仕入れ等は、いずれの区分になるでしょうか?
なお、自社製品は、消費税が非課税とされるものではありません。

・法人税について
その自社製品の提供が不特定又は多数の被災者を救援するため緊急に行うものである場合には、その提供に要した費用は交際費・寄附金に該当せず、損金の額に算入されると考えられます。

・消費税について
提供した自社製品の製作のために要した課税仕入れ等は、課税資産の譲渡等のみ要するものに区分して仕入税額控除を計算します。

(1)法人税について

災害直後、メーカーなどの企業は被災地域に向けて、自社製品を災害支援物資として送るケースが多数あります。
このような災害支援物資の送付は、交際費又は寄附金に該当するのではという疑問が生じると思います。

法人税法・租税特別措置法に当てはめるとこのような疑問が生じるのは当然であると考えられます。
しかし、法人税法基本通達及び租税特別措置法基本通達に下記のような規定が存在します。

<法人税法基本通達9-4-6の4>
法人が不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品等の提供に要する費用の額は、寄附金の額に該当しないものとする。

<租税特別措置法基本通達61の4(1)-10の4>
法人が不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品等の提供に要する費用は、交際費等に該当しないものとする。

そのため、ご質問のような不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品の提供に要する費用は、交際費・寄附金に該当しないと考えられます。

もちろん、特定の限られた者のみに対して自社製品を提供する場合には交際費・寄附金に該当すると考えられます。

(2)消費税について

被災者等に自社製品を無償で提供した場合、これは「対価を得て行われる」取引に該当しないことから、資産の譲渡等に該当せずに消費税が課税される取引ではないと考えられます。
そのため、この無償で提供した自社製品の課税仕入れ等について、仕入税額控除を計算する際、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分して計算するのではないかという疑問が生じると思います。
しかし、この区分の判定を行うタイミングは、あくまで課税仕入れ等を行なったタイミングで判定を行うこととされており、当初課税資産の譲渡等を行う目的で取得していることから、課税資産の譲渡等のみ要するものとして仕入税額控除を計算するのが妥当であると考えられます。
もちろん、被災者を支援するために新たに物品等を購入した場合には、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分して仕入税額控除を計算する必要があると考えられます。

【参考法令等】

法人税法基本通達9-4-6の4
租税特別措置法基本通達61の4(1)-10の4

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