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Question

当社は不動産業を営んでおります。

この度、当社を賃貸人、B社を賃借人とする事務所の賃貸借契約を締結することになりました。

賃貸借期間は10年とすることとしており、敷金を500万円、敷金のうち200万円を敷引きとすることとしています。

当該敷引金については、契約時点において、返還しないことが確定しているものになります。

この場合の、法人税の取扱いを教えてください。

 

Answer

(1)法人税の取扱い

敷引金は、契約を行なったタイミングで返還しないことが確定していると考えられます。

そのため、賃貸役契約の締結を行なった日の属する事業年度の益金の額に算入されると考えられます。

 

建物等の資産の賃貸借契約に基づいて保証金、敷金等として受け入れた金額であったとしても、その金額のうち一部について返還しない場合、その返還しない部分の金額のことを一般的に「敷引金」や「保証金償却」と呼びます。

「敷引金」や「保証金償却」は返還しないことが確定していることから、収入することが契約時点などで確定しています。

収入が確定しているものを、法人税法は益金として認識することを要請しており、今回の事例も益金を認識すべきものであると考えられます。

 

なお、契約等により返還しない部分の金額が期間の経過に応じて確定していく場合には、期間の経過に応じて益金を認識していくことになると考えられます。

もちろん、返還しないことが確定していない部分の金額については、益金を認識する必要はないと考えられます。

 

(2)その他

敷引特約等により、「契約開始後に敷引きを賃貸人の任意の方法で償却できるものとされている」契約であったとしても、敷引金は基本的に返還を要しないものであると考えられることから、上記取扱いと同様になると考えられます。

 

(3)消費税について

建物等の資産の賃貸借契約に基づいて保証金、敷金等として受け入れた金額は、将来返還するものであることから、資産の譲渡等に該当せず、不課税取引となります。

ただし、「敷引金」や「保証金償却」と呼ばれる、将来返還されない金額がある場合には、その返還されないことが確定した日の属する事業年度の資産の譲渡等に該当するものとして取扱う必要があります。

(基本的には、法人税の益金認識を行うタイミングで、資産の譲渡等を認識することとなります。)

 

今回の事例ですと、返還されないことが確定したのは賃貸借契約を締結した事業年度になると考えられます。

 

(4)参考法令等

法人税法22条

法人税法基本通達2-1-41

消費税法基本通達5-4-3

 

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