改正成立について
平成30年税制改正はすでに成立しており、これらの内容解説の記事の作成を進めています。
実際に成立した内容を解説している記事も併せてご確認いただけますと幸いです。
Question
平成30年度税制改正において収益の認識基準等について改正が行われると聞きましたが、その内容を教えてください。
Answer
(1)収益の認識基準等について改正の概要
収益の認識基準等について、下記の改正が行われる予定です。
① 収益認識時の価額について法令化
②収益の認識時について法令化
③返品調整引当金制度の廃止(経過措置あり)
④長期割賦販売等の延払基準について廃止(経過措置あり)
(2)収益認識時の価額について法令化について
収益認識時の価額が下記の通りに法令上明確化される予定です。
①資産の販売若しくは譲渡をした場合
資産の引渡しの時における価額
②役務の提供
提供した役務について通常得るべき対価の額に相当する金額
(注1)引渡しの時における価額又は通常得べき対価の額は、貸倒れ又は買戻しの可能性がある場合においても、その可能性がないものとした場合の価額とされます。
(注2)資産の販売等に係る収益の額を実質的な取引の単位に区分して計上できることとされる予定です。
(注3)値引き及び割戻しについて、客観的に見積もられた金額を収益の額から控除することができることとされる予定です。
(3)収益の認識時について法令化
収益の認識時が下記の通りに法令上明確化される予定です。
<原則>
目的物の引渡し又は役務の提供の日の属する事業年度の益金の額に算入する。
<例外>
一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って原則の日に近接する日の属する事業年度の収益の額として経理した場合には、原則にかかわらず、当該資産の販売等に係る収益の額は、その事業年度の益金の額に算入する。
(4)返品調整引当金制度の廃止(経過措置あり)
返品調整引当金制度は、廃止される予定です。
なお、下記の経過措置が規定される予定です。
<経過措置>
・対象法人
平成30年4月1日において返品調整引当金制度の対象事業を営む法人
・内容
① 平成33年3月31日までに開始する各事業年度 ・・・ 現行どおりの損金算入限度額による引当てが認められる予定
② 平成33年4月1日から平成42年3月31日までの間に開始する各事業年度 ・・・ 現行法による損金算入限度額に対して1年ごとに10分の1ずつ縮小した額の引当てが認められる予定
(5)長期割賦販売等の延払基準について廃止予定(経過措置あり)
長期割賦販売等に該当する資産の販売等について延払基準は、廃止される予定です。
なお、下記の経過措置が規定される予定です。
<経過措置>
・対象法人
平成30年4月1日前に長期割賦販売等に該当する資産の販売等を行った法人
・内容
① 平成35年3月31日までに開始する各事業年度 ・・・ 現行の延払基準により計算することが認められる予定
②平成30年4月1日以後に終了する事業年度 ・・・ 延払基準の適用をやめた場合の繰延割賦利益額を10年均等で収益計上する等の経過措置が規定される予定
(注)ファイナンス・リース取引については、改正は行われない予定であります。