税効果会計の計算の全体的な流れを教えてください。

税効果会計については、主に以下の流れで計算を行います。
STEP1: 一時差異等の識別/把握
STEP2:法定実効税率の計算
STEP3: 繰延税金資産/負債の認識
STEP4:繰延税金資産の回収可能性の検討
STEP5:繰延税金資産/負債/法人税調整額の計上

(1) 税効果会計とは

税効果会計とは、会計上の税引前利益と法人税等を対応させて法人税等の金額を適切に期間配分を行うために調整する手続きをいいます。
例えば、商品評価損については、会計上は費用として認められますが、税務上は通常は損金として認められないため、会計と税務上で税金費用につき差異が生じてしまいます。
この差異を調整する仕組みが税効果会計です。具体的な事例は下記の通りです。税効果会計適用後は、ご覧の通り税引前当期純利益と税金費用が適切に連動していることがわかります。

なお、法定実行税率が30%であるという前提の事例になります。

(2) 税効果会計の計算ステップ

税効果会計は、下記のステップで計算を行います。

STEP1:一時差異等の識別/把握

「一時差異等」は、「一時差異」と「一時差異に準ずるもの」の総称です。
「一時差異」は、当該差異が解消するときに将来の課税所得を減少させる効果のある「将来減算一時差異」と、将来の課税所得を増加させる効果がある「将来加算一時差異」があります。また、「一時差異に準ずるもの」には、将来の課税所得を減額する効果のある項目が含まれます。具体的には、将来の課税所得と相殺可能な繰越欠損金、将来実現することが見込まれる繰越外国税額控除等が含まれます。

項目としては、「将来減算一時差異」に該当する項目が多く、「将来加算一時差異」や「一時差異に準じるもの」の項目は「将来減算一時差異」と比べると比較的少ないです。

こちらのステップで一時差異を適切に把握していない場合、以下のステップで税効果会計の対象から外れてしまうため、特に重要なステップと考えられます。

STEP2:法定実効税率の計算

法定実効税率は以下の算式で計算されます。

<概略>

[法人税率×(1+住民税率)+事業税率]÷[1+事業税率]=法定実効税率

<詳細>

また、税効果会計は将来の税金の増加・減少の効果を示すものであるため、将来において当該効果が実現する時点の税率を使用することとなる点に留意が必要です。

なお、日本における法定実効税率は約30%であり、諸外国と比較するとドイツと同水準の税率水準となっており、今後も国際競争力の観点からその数値は減少していくことが見込まれます。

法定実効税率の計算については、自社で計算した後に、大手、中小の税理士法人等が定期的に数値の計算等を行いweb上で公開も行なっていますので、そちらの数値を参考にして自社での計算結果が妥当か否かを確認するのも良いと思います。

STEP3:繰延税金資産/負債の認識

当ステップにおいては、ステップ1で認識した一時差異等に対して、ステップ2で計算した法定実効税率を乗じることで繰延税金資産/負債の金額を算出します。
特に難しいステップではありません。

STEP4: 繰延税金資産の回収可能性の検討

繰延税金資産については、次の(1)〜(3)に基づいて、将来の税金負担額を軽減する効果を有すか否かを判断します。
(1)収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得が発生する可能性が高いと見込まれるかどうか
(2)タックスプランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得が発生する可能性が高いと見込まれるか
(3)将来の課税所得を増加すると見込まれる将来加算一時差異が解消されると見込まれるか
繰延税金資産の回収可能性については、毎期検討する必要があり、上記3つの観点から回収可能見込額まで繰延税金資産を計上することができます。

なお、繰延税金負債については、回収可能性の検討等は行わず、全額を計上することとなります。

STEP5:繰延税金資産・負債/法人税調整額の計上

STEP4にて回収可能性ありとされた繰延税金資産及び繰延税金負債を集計し、期首の残高と期末の残高の差額に対して仕訳を計上します。

ここで、仕訳については主に以下の2つのパターンが想定されます。

(1) 評価差額以外の通常の調整

繰延税金資産 200 法人税等調整額 100
    繰延資産負債 100

(2) 評価差額の調整

繰延税金資産 100 評価換算差額等 100

 

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