Question

移転価格税制について教えてください。

Answer

(1)移転価格税制の概要

国外関連者との間で資産の販売・役務提供等を行う場合において、その資産の販売・役務提供等の対価の額が独立企業間価格に満たないときは、その取引が独立企業間価格で行われたものとみなして所得金額を計算して課税される制度です。
独立企業間価格とは、独立している第三者間において同種の取引が行われた場合に成立すると認められる価格をいいます。

(2)移転価格税制導入の背景

近年、経済のグローバル化に伴い多くの多国籍企業が世界中で経済活動を行っています。
このような多国籍企業においては、親子会社間や兄弟会社間で取引を行うケースも多くあります。このような取引では、第三者間で取引されている価格と異なる価格(例えば、親会社の指定する価格等)で取引を行うことも多くある可能性があります。
しかしこの場合、必然的に一方の利益が他方に移転することになり、利益が増加する国ではその分税収も増えますが、利益が減少する国ではその分税収が減ってしまうこととなります。
このような利益移転による国際的な租税回避行為を防止するため、各国では「移転価格税制」の整備を進め、日本でも移転価格税制が導入されました。

(3)移転価格税制の税務調査の対象となる可能性の高い会社

日本側の営業利益や営業利益率が同業他社と比較して極端に低い場合等に移転価格税制の適用対象となる取引が存在する可能性が高いと考えられて税務調査の対象となることが想定されます。
また、下記に記載しているような情報源より税務調査の対象になる可能性があります。
 ①別表17(四)の記載で、関連当事者の営業利益率が高い場合
 ②有価証券報告書上の関係会社の開示に記載されているが、別表17(四)に記載されていない場合
 ③通常の法人税の調査にて、移転価格に影響のありそうな項目が発見された場合(例えば、子会社へ無利息や低い利率で貸付が実施されていること)

(4)税務当局による推定課税

独立企業間価格を算定するために必要な書類を会社に求めたが会社が提出しない場合には、税務当局は下記の「推定課税方法」により算定した金額を独立企業間価格と推定して、更正又は決定することができるとされております。
 ①当法人と同種の事業を営む法人で事業規模その他の事業内容が類似するもので、当該事業に係る売上総利益率又はこれに準ずる割合として一定の割合を基礎とした再販売価格基準法、原価基準法又はそれらと同様の方法
 ②利益分割法、取引単位営業利益法、又はそれと同等の方法に類するものとして一定の方法(②は①に掲げる方法を用いることができない場合に、使用されるものになります。)

(5)日本の税務当局に不利になる場合の移転価格税制上の取り扱い

移転価格税制は独立企業間価格を採用すると日本側の税収が増加する場合に適用される制度になります。
そのため、日本の税務当局に不利なケース(日本国の税収減となるケース)は日本の移転価格税制は適用されないものになります。
ただし、この場合には海外の税務当局に指摘の対象となる可能性が有るので注意が必要ですが、「相互協議」が当事者間の税務当局で開始されることがあります。
「相互協議」とは、租税条約の相互協議条項に従って、日本と相手国(租税条約締結国)の権限ある当局間で行われる政府間協議のことをいいます。

【参考法令等】

租税特別措置法66条の4

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加