fbpx

概要

仕入代金を現金・ビットコインのいずれで決済したとしても、会計上・税務上は仕入れを認識する必要があります。
会計・税金の計算は、基本的に日本円で行われることから、日本円以外で決済を行なった場合、日本円に換算する必要が生じますが、どのような方法により換算をすべきか疑問が生じると思います。
今回は、このようなケースについて解説を行いたいと思います。

当社は小売業を営んでおりますが、仕入代金の決済方法は現金のみでなくビットコインによる決済も導入しています。101万円の商品(消費税込)を1ビットコインで仕入れを行ったのですが、この場合の取扱いを教えてください。なお取引条件は、月末締めの翌月末払いとなっており、決済に使用したビットコインのそれぞれの時点のレートは下記の通りです。なお、ビットコインの取得は当期中に行われており、この商品の仕入れは課税仕入れに該当します。

・取得時レート(取得価額) 100万円
・商品の引渡時のレート   105万円
・代金支払い時のレート   101万円

・会計上の取扱い
その商品の引渡時に101万円(消費税込)の仕入れを認識すると考えられます。
また、その支払い時のレートで換算した101万円と取得価額である100万円との差額1万円を、その決済時の収益として計上するべきと考えられます。

・法人税の取扱い
その商品の引渡時に101万円(消費税込)の仕入れを認識すると考えられます。
また、その支払い時のレートで換算した101万円と取得価額である100万円との差額1万円を、その決済時の益金として計上するべきと考えられます。

・消費税の取扱い
その商品の引渡時に101万円(消費税込)の課税仕入れを認識すると考えられます。
なお、換算差額は、資産の譲渡等に該当しないと考えられることから、消費税の計算上、特段影響を与えないと考えられます。

(1)会計上の取扱い

ご質問のように商品の仕入代金をビットコインなどの仮想通貨により決済した場合の仕入れとして計上すべき金額は、通常の商品仕入と同様に、その仕入について約定した金額になると考えられます。そのため、仕入れとして計上すべき金額は101万円になると考えられます。

買掛金の支払時に、ビットコインの売却損益(換算損益)を認識する必要があります。この計算は、決済時におけるレートを使用して、取得価額との差額により計算すると考えられます。
このレートは通常使用している取引所の交換レートを使用して計算することが妥当であると考えられます。
したがって、ご質問の場合の売却損益は1万円になると考えられます。

会計上の一連の流れの仕訳を下記に記載しておりますのでご確認ください。

・会計上の仕訳

①ビットコイン取得時

仮想通貨 1,000,000円 現金預金  1,000,000円

②仕入時

仕入 1,010,000円 買掛金  1,010,000円

③決済時

買掛金 1,010,000円 仮想通貨  1,000,000円
    仮想通貨売却損益 10,000円

(2)法人税の取扱い

ご質問のように商品の代金をビットコインなどの仮想通貨により決済した場合の損金として認識すべき仕入金額は、会計上の取扱いと同様に、その仕入について約定した金額になると考えられます。そのため、仕入れとして計上すべき金額は101万円になると考えられます。

買掛金の支払時に、ビットコインの売却損益(換算損益)を認識する必要があります。この計算は、決済時におけるレートを使用して、取得価額との差額により計算すると考えられます。
このレートは通常使用している取引所の交換レートを使用して計算することが妥当であると考えられます。
したがって、ご質問の場合の売却損益は1万円になると考えられます。

税務上の一連の流れの仕訳を下記に記載しておりますのでご確認ください。(会計上の仕訳と同様になります。)

・税務上の仕訳

①ビットコイン取得時

仮想通貨 1,000,000円 現金預金  1,000,000円

②仕入時

仕入 1,010,000円 買掛金  1,010,000円

③決済時

買掛金 1,010,000円 仮想通貨  1,000,000円
    仮想通貨売却損益 10,000円

(3)消費税の取扱い

ご質問のように商品の仕入代金をビットコインなどの仮想通貨により決済した場合においても、現金で決済した場合と同様に、仮払消費税を認識することとなります。
この場合、消費税の計算上、課税仕入れとして認識すべき金額は、会計上・法人税上認識すべき仕入高と同様に、その仕入について約定した金額になると考えられます。
したがって、ご質問のケースですと、課税仕入れ(税込金額)として認識すべき金額は101万円になります。

また、ご質問のようにビットコインにて支払いを行う場合は、いったん、ビットコインの売却を行うことにより円貨を取得して、その取得した円貨を使用して代金を支払うと消費税上は捉えて課税関係を検討する必要があると考えられます。
ご質問のケースですと、支払金額101万円が非課税売上になると考えられます。
ただし、一定の仮想通貨の売却は非課税取引に該当するとされていますが支払手段の譲渡に該当することから、課税売上割合の計算上は分母に含まないとされています。
そのため、消費税の計算上、影響を与えないと考えられます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加