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概要

ビットコインやリップルなどの仮想通貨を利用して給与を支払うケースも今後増えてくると考えられます。
従業員に対する給与を円ではなく、仮想通貨で支給する場合の取扱いについて、今回は解説したいと思います。

なお、役員に対する役員報酬を仮想通貨で支給した場合の取扱いは下記リンク先にて解説をしています。

当社は当期より従業員に対する給与を仮想通貨(リップル)で支払うこととしました。毎月25日に20,000リップルを従業員に対して支給する場合の法人税・所得税・会計処理の取扱いを教えてください。

①会計処理について
会計処理は円で行うことから、円貨換算が必要になります。この場合、円貨換算は給与の支給日におけるレートを使用すると考えられます。 

②法人税について
・給与について
円貨で支払った場合と同様に、給与として損金の額に算入されると考えられます。

・換算損益について
その仮想通貨の取得価額とその支給時レートとの差額は、その支給時の益金の額または損金の額に算入すべきと考えられます。

③所得税について
円貨換算後の金額を源泉徴収税額表に当てはめて、源泉徴収する必要があると考えられます。源泉徴収をした所得税は、原則、その源泉徴収を行なった月の翌月10日までに納付する必要があります。

(1)会計処理について

会計処理は円で行うことから、円貨換算が必要になります。この場合の換算方法は外貨建取引を行なった際の換算方法に準じて換算を行うのが適当であると考えられます。そのため、円貨換算は給与の支給日におけるレートを使用するべきと考えられます。
仮想通貨の取得から給与の支給までの具体的な仕訳は下記の通りになると考えられます。

<前提>
リップル取得価額  900,000円
支給時レート   1,040,000円

・取得時

仮想通貨 900,000円 現金預金  900,000円

・支給時

給与手当 1,040,000円 仮想通貨 900,000円
    仮想通貨換算益  140,000円

(2)法人税について

・給与について

従業員に対して支給する給与は、原則として法人税の計算上損金の額に算入されます。
これは、仮想通貨により支給した場合も同様であると考えられます。

・換算差額について

法人税の計算上、仮想通貨建取引は円貨換算を行う必要があると考えられます。その円貨換算は外貨建取引の規定に準じて換算を行うのが適当であると思われます。そのため、その仮想通貨建取引を行なった時のレートにより換算することが適当であると考えられます。
ご質問のケースに当てはめますと、その仮想通貨の取得価額とその支給時レートとの差額は、その支給時の益金の額または損金の額に算入すべきと考えられます。

(3)所得税の取扱い

給与は給与所得に該当することから、会社が源泉徴収を行う必要があります。
源泉徴収を行うべき金額は、円貨換算後の金額を源泉徴収税額表に当てはめることにより計算すべきであると考えられます。
源泉徴収をした所得税は、原則、その源泉徴収を行なった月の翌月10日までに納付する必要があります。

【参考法令等】

法人税法34条
所得税法183条

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