この度の豪雨により被害を受けられた皆様方へ、お見舞いを申し上げます。
災害により受けた場合、税法上一定の救済措置が設けられています。今回は雑損控除について解説を行いたいと思います。

豪雨により住宅・家財に相当の損失を受けてしましました。この場合、所得税の計算上、何らかの救済措置等はないのでしょうか?

住宅・家財について受けた損失については、雑損控除の適用を受けることができると考えられます。

(1)雑損控除の概要

下記の要件をすべて満たす資産について災害または盗難もしくは横領により損失を受けた場合には、雑損控除の適用を受けることができます。

ご質問の豪雨については、災害に該当すると考えられますので、雑損控除の適用を受けることができると考えられます。

<適用対象資産>
①資産を所有しているのは下記のいずれかの者であること
(イ)納税者
(ロ)納税者と生計を一にする親族で、総所得金額等(注1)が38万円以下である者
②棚卸資産、事業用固定資産等、生活に通常必要でない資産(注2)のいずれにも該当しないこと

(注1)総所得金額等とは、とは、純損失、雑損失、その他各種損失の繰越控除後の総所得金額、特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等に係る配当所得の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額及び退職所得金額の合計額をいいます。

(注2)生活に通常必要でない資産とは、下記の①から③に該当する資産を言います。
①競走馬(事業の用に供用されているものを除く)その他射こう的行為の手段となる動産
②通常自己及び自己と生計を一にする親族が居住の用に供しない家屋で主として趣味、娯楽又は保養の用に供する目的で所有するものその他主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する資産
③生活の用に供する動産で非課税とされないもの
具体的には、競走馬、別荘、貴金属(製品)や書画、骨董など1個又は1組の価額が30万円超のもの、趣味、娯楽、保養、観賞用の不動産やゴルフ会員権などが、生活に通常必要でない資産に該当します。

(2)雑損控除の計算について

以下の①と②のうち、いずれか多い方の金額が雑損控除の金額として、所得控除を受けることができます。

①差引損失額(注3) – 総所得金額等 ×10%
②差引損失額のうち災害関連支出の金額 – 5万円

なお、その年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後3年間繰越しすることが可能です。
また、災害関連支出の金額とは、災害による損失を受けた資産の取壊費用や、滅失した住宅、家財などを取壊すために支出した金額などがこれに該当します。

(注3)差引損失額の計算
差引損失とは下記の方法により計算した金額を言います。
損害金額 + 災害等関連支出の金額 ー 保険金などにより補てんされる金額 = 差引損失額
(イ)「損害金額」とは、損害を受けた時の直前におけるその資産の時価を基にして計算した損害の額
(ロ)「災害等関連支出の金額」とは、「災害関連支出の金額」と、盗難や横領により損害を受けた資産の原状回復のために支出した金額を合計した金額(例えば、災害による損失を受けた資産の取壊費用や、滅失した住宅、家財などを取壊すために支出した金額などがこれに該当します。)
(ハ)「保険金などにより補てんされる金額」とは、災害などに起因して受け取った保険金や損害賠償金の金額

(3)確定申告について

雑損控除の適用を受けるためには確定申告を行う必要があります。確定申告書には、雑損控除に関する事項を記載する必要があります。併せて、災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収を証する書類を添付又は提示をする必要があります。

【参考法令等】

所得税法62条、72条
所得税法施行令178条

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